子どもの未来の可能性を広げるためにも“思い込み”をはずす

 楽しく見終わった後「これ、何か、最近のプリンセス映画に似てない?」と私は思いました。2010年代以降のディズニー・プリンセス映画は、プリンセスが危機に立ち向かい、行動を起こす一方で、王子様が登場しなかったり、全く頼りにならなかったりします。

 「確かに、アナとクリストフに似ているね」と息子が答えました。大ヒットした映画『アナと雪の女王』でも、凍ってしまった祖国を救うためアナが奮闘するのを、彼女を愛しているクリストフが応援します。ただし、彼の活躍はもっぱら補助的なもので、主人公はあくまでアナなのです。

 1年続けてきた本連載では、映画やポスター、CM、本などを子どもと一緒に読んだり見たりしながら、そこに「男らしら/女らしさ」の決めつけや、それに基づく迫害が起きることを書いてきました。私たちの身の回りを見ると、今回ご紹介した映画のように、既にそうした決め付けから、かなり自由になっている作品も数多くあります。一方で、大人向けのコンテンツの中にも、昔ながらの「男はこうあるべき、女はこうあるべき」にとらわれているものも少なくありません。

 お子さんたちの未来の可能性を広げたいと考える保護者の方には、 自分自身の中にそうした思い込み、決め付けがないか、時々立ち止まって考えてみていただきたいと思います。考えるための材料は、あなたの周りにたくさんあります。

 本連載は今回が最終回です。同じ年ごろのお子さんをお持ちの方から「読んでいます」「うちの子ともこんな話をしました」とお声掛けいただくこともあり、楽しい1年間でした。ご愛読、ありがとうございました!

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『バンブルビー』上映中

監督:トラヴィス・ナイト(『KUBO/二本の弦の秘密』
出演:ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグ・Jr
配給:東和ピクチャーズ
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