さらに分析して読解力、表現力を養う 

ステップ4:自分の意見を書く

 3で抜き出したりまとめたりした部分について、特に印象に残った3カ所について、手書きで意見を記してもらいました。

 例えば、息子はこんなことを書いていました。

〇「女はやさしくかわいいのがいい」というのは、男だってきたえなければ弱いし、かしこければ王に助言して国が良くなるからこそ、やさしくかわいいだけじゃだめだと思う。(12ページについて)

〇「女がけっこんしないでなにができるというのだ」女はけっこんしないと生きているいみがないといっていることと同じだ。でも女だって仕事を出来るし男だってけっこんしなきゃしそんをのこせないから、女だけにいうのはおかしいし、そもそもそういうことはいわない方がいい」(13ページについて)

〇「ほうりつで、父がけっこんを決めたら、むすめはそれにさからえないという所は、そもそもがめいれいしたらむすめがさからえない、だからにしかめいれいけんがなくてにはない。むすこはさからっていいけれど、むすめはさからえない。そもそもさからうのは自由だけど「父がめいれいしたらむすこはさからえない」を男女平どうになるように書けばおやがめいれいしたら子どもはさからえないのほうがいい」(21ページについて。原文波線を引用時下線に)

 まとめてみますと、息子が印象に残ったのは、主に親子関係における男女不平等だったようです。女は優しくてかわいいのがいい。女は結婚しなくては人生に意味がない。娘は父親に従わなければいけない――。家父長制の家族をほうふつさせるものから、今も日常生活に残る暗黙のルールまで、様々な形で「女らしさ」の決めつけが表現されています。

 これに違和感を覚えるかどうかは「ジェンダー」というフレームワークを知っているかどうか、という知識の問題と、人間は属性によらず平等であるべきだ、という人権意識の問題があります。

 『アリーテ姫の冒険』は、楽しく読むだけでなく、こんなふうに子どもと一緒に分析してみることで、読解力、思考力、表現力を養う教材にもできます。特にジェンダーや人権は、今や国際社会では基礎教養と言える知識ですから、早いうちから伝えておくと良いと思います。