日常を送れなくなる緊張感は常にある

―― 直近の病状はどんな感じですか?

西口 血液中の腫瘍マーカーの数値がちょっと上がってきています。がんが見つかったときの数値は高くなかったのですが、今まで数値が上がらなかったのがおかしいくらいだったんですよね。

―― 腫瘍マーカーが上がるというのは、どういう意味があるのでしょうか?

西口 数値が高ければ高いほど、がんの状態が悪化したということだと思います。ただ、今のところ体調に変化はなくて、CT検査での画像上の所見もないので、様子見というところです。こればかりは、がんとうまく付き合っていくしかないですね。

―― お仕事は変わりありませんか?

西口 変わらないですね。アルバイトとして週2~3日勤務して、出勤したときはフルタイムで仕事をしているし、残業することもあります。多分、職場の同僚は、僕ががんだということを忘れてしまっていると思います(笑)。

 最初の半年くらいは「大丈夫?」とか「体調どうですか?」なんて聞かれましたが、1年くらい経つと、僕から言わない限りは聞かれなくなりました。でも今のほうが、お互い変に「がん患者だから」と意識しないでいられていいかなと思っています。

―― 仕事の付き合いなどでお酒を飲むような場にも行ったりするんですか?

西口 行きますよ、治療の日でなければ。お酒も飲みますし、本当に普通です。

―― ご家庭では、最近何かありましたか?

西口 先月、子どもが学校の図書館で『がんのひみつ』(学研)という本を借りてきたんです。それで、僕に読み聞かせをしてきました(笑)。

 「父ちゃんも勉強しなよ! がんはどうやってできるか知ってんの?」なんて言われて。「じゃあ、教えて」と言ったら、本を読んでくれて、「分かった?」と聞かれました(笑)。子どもは「がんの本だ! 借りよう」と無邪気に借りてきたと思うんですけど、子どもなりに僕の力になりたいと思ってくれているんだなと思って、ちょっとビックリしました。

―― 奥様は特に変わりありませんか?

西口 特に変化はありませんね。僕が1日家にいると、「子どもと一緒にどこかに行ってきて」という雰囲気になるので、子どもを連れ出して、普段我慢させられているアイスとかを「内緒だよ」と言いながら食べたりしています。「ママには内緒」って言うと、娘は絶対妻にバラすんですけどね(笑)。

―― どこにでもいる家族の、ありきたりの日常のエピソードですね。

西口 そうですね……本当にそうです。でも、腫瘍マーカーがまたグンと上がったりして、画像に怪しいものが映って、体調にも異常が現れたら、そういうこともできなくなってしまうので、緊張感は常にあります。

 とはいっても、自分ではそれを遅らせることもできないので、「今日も何も起きなくて良かったな」と思うことしかできないんですけどね。

西口さんの誕生日、娘さんとのツーショット