6歳の長女が布団をかぶって1人で泣いていた

瀬戸川 最初に乳がんになったときから、「今日病院に行ってきて、お医者さんにこう言われたよ」と、正直に話しました。泣かれましたけど、でも入院して手術することも、抗がん剤のことも隠し通すのは無理だなと思って。そのときは娘が中1で息子が小4だったので、受け止められるだろうという思いもありました。

西口 でも、中1だとなかなか多感な年頃じゃないですか? しかも女の子ですから。

瀬戸川 そうですね、結構悪さもされましたよ。「友達はまだ親に甘えているのに、なんで私はお母さんを気遣わないといけないの?」みたいな感じだったんでしょうね。

 最初は私もそれが分からなくて、「なんで私が大変なときにそんなことするの!?」って大げんかになりました。でも、もっと自分のほうを向いてほしいという思いや何かムシャクシャする気持ちをどこにもぶつけようがなかったんですよね、きっと。「お母さんに迷惑かけてやろう」みたいな気持ちもあったんじゃないかな。

西口 息子さんのほうはどうでしたか?

瀬戸川 息子はひとしきり泣いた後、いきなり神様宛てに手紙を書き始めて。「お母さんにこんなつらい思いをさせないでください」みたいな感動的なフレーズがありましたね。「単純で、かわいいやつだな」と思いました(笑)。

西口 金澤さんはお子さんにどんなふうに伝えましたか?

金澤 最初に入院したときは、上の子がまだ4歳だったことと、腸閉塞や胃腸炎で入院が長引いたので、がんということは言わなかったですね。

 ただ、家にがんの治療についての本が並んでいたり、妻が薬剤師なので、大腸がんの勉強もしてくれていて、そういう本や書類があったりするんですよ。それで、娘が6歳くらいのときだったかな、妻に「お父さんはがんなの?」と聞いたみたいです。妻が「そうだよ」と答えたのが、上の子が初めて僕の病気を認識したときですね。

西口 6歳というと、小学校に上がるか上がらないかくらいの年齢ですよね。お子さんはどう感じたんでしょうか。

金澤 僕は直接聞いていないんですけど、僕が入院しているときに布団をかぶって1人で泣いていたと妻から聞きました。やっぱり、テレビなどでは「がん=死」のように表現されているので、「パパ、死んじゃうの?」と妻に尋ねたりもしたようです。

西口 奥さんはそのときどうお答えになったんでしょうか?

金澤 「そんなことないよ。治すために病院に行っているんだよ」と説明してくれたみたいですね。

金澤雄太さん
金澤雄太さん