背骨から尾てい骨までがんが転移

西口 それからの病状はどんな感じですか?

金澤 手術は成功したんですが、2016年に肝臓に転移が見つかりまして、今度は「ステージ4」と診断されて、再手術をしました。その後2017年に肝門部リンパ節に転移して、12月に手術と抗がん剤治療を受けて、今年1~4月まで休職し、現在は時短勤務で復職しています。

西口 二度転移したんですね。それは本当につらい…。瀬戸川さんは、発覚してから今まではどんな感じですか?

瀬戸川 私は2013年の7月に乳がんのステージ2と分かりました。左乳房を全摘出して、抗がん剤とホルモン治療をしたんですが、2年後の2015年に再発。肩が痛くて、四十肩かと思っていたら、実際はがんが鎖骨に転移していて折れていたんです。

西口 がんが取り除ききれていなかったということですか?

瀬戸川 乳がんのがん細胞が残っていて、リンパに乗って鎖骨に集まったようです。鎖骨とリンパ節のがんは放射線治療と抗がん剤、ホルモン治療でやっつけられたんですが、実は背骨とか頭蓋骨の一部、尾てい骨まで点々とがんがあって、それがなかなか抑えられていない状態です。

西口 では、今も抗がん剤治療をずっとやっているんですか?

瀬戸川 抗がん剤治療は一度終わったんですが、昨年12月から腫瘍マーカーがガンと上がってしまって、薬がしょっちゅう変わっていて。先月までは経口の分子標的薬で、今月から経口の抗がん剤を飲んでいます。でも、自分では自覚症状は全然なくて。疲れやすいというのはありますけど、仕事で疲れているのか、年齢的なもので疲れているのか、正直分からないですね(苦笑)。

西口 金澤さんは、現在の体調はいかがですか?

金澤 僕は、今は特に薬は服用していないのですが、抗がん剤を服用していた4カ月間は寝たきりになる時期もあったので、体力的には落ちています。やっぱり週末になると疲れがどっと出て、しんどくなりますね。

がんに理解のある上司や職場に恵まれた

西口 金澤さんは時短勤務されているとおっしゃいましたが、勤務時間は何時から何時までですか?

金澤 週5勤務で、10時から16時までです。コアタイムが11~16時なので、上司と相談してそこは外さないようにして、働かせてもらっています。

西口 以前の手術期間も休職されてらっしゃったんですか?

金澤 はい。最初に見つかったときは11月から1月まで3カ月入院して、2月いっぱい自宅療養して、3月に復帰しています。その後転移が見つかったときは、確か8~9月くらいの2~3カ月間入院して、抗がん剤治療がなかったので11月に復職しました。

西口 「毎回休んで、復帰して」ということを認めてくれる会社もすごいですね。

金澤 会社にとっても僕が恐らく初めてのがん患者の事例だったと思いますが、「金澤はどうしたい?」と希望を聞いてくれて、それをもとに対応してくれました。僕がすごくラッキーだったのは、直属の上司ががんにとても理解があったことですね。その方はお父さんを肺がんで亡くされていて、どう治療するかとか治療の間の困難さなどもよく理解してくれました。

西口 瀬戸川さんは、行政書士としてご自分の事務所も構えてらっしゃいますが、お仕事のほうはいかがですか?

瀬戸川 朝8時くらいから事務所に行って、忙しかったら夜8時まで仕事をしています。2週間に1度程度の頻度で病院に行くのですが、そのときはどうしても半日ほど時間を取られてしまうので、そのしわ寄せが出るのは仕方がないかなと思っています。

 最初は、病気のことをお客さんに言うのはやめようと思っていたんですが、最初の抗がん剤で歯ぐきが炎症を起こしてばい菌が入り、高熱を出して緊急入院してしまって。そもそも嘘をつけない性格でもあるので、正直に言うことにしました。

 「こういう状態なので、ご迷惑をおかけするかもしれません。もしよろしければ、他の業者さんを紹介します。でも、とりあえずはやるつもりです」と伝えたら、「じゃあ、やって」と。そのとき50社お付き合いがあって、離れたのは1社しかありませんでした。いまだに新しいお客さんを紹介していただいたりしています。

金澤 すごいなぁ。得難いつながりですね。