仕事にまつわる連絡手段として、今や誰もが当たり前に使っているメール。毎日数十通(人によっては3ケタかも?)をやり取りし、その処理にかなりの時間を取られてはいないでしょうか。メールが届くたびにやっている仕事を中断して返信したり、うっかり返信し忘れてあわてたり。そんなふうにメールに振り回されてしまってはまさに時間のムダです!

 ビジネスのメールに求められるのは、「伝えたいことを明確かつ簡潔に書くこと」と「時間をかけず効率よく処理すること」。そんな効率アップ間違いなしのテクニックを専門家に教えてもらいました。また、ビジネスの第一線で活躍する5人の「メールのマイルール」もご紹介します。

【仕事時間プライオリティーの法則特集】
第1回 仕事と育児の両立 生産性アップは時代の要請
第2回 ポピンズ社長 一番大切にしてきたのはいつも「家族」
第3回 グーグルCMO テクノロジーはこうして味方にする
第4回 時間泥棒「メール」はスキルを磨けば誰でも高速化 ←今回はココ
第5回 外資系コンサルが伝授!超実用「倍速」仕事術

 日本ビジネスメール協会が2007年から毎年行っている「ビジネスメール実態調査」によると、仕事での主要なコミュニケーション手段として上位を占めるのは「メール」「電話」「会う」の3つ。この並び順は、2011年から変わっていません。また2017年の調査(有効回答数2395)では、1日の平均送信通数は12.62通、受信通数は39.28通。1通作成するのにかかる平均時間は5分と答えた人が35.74%と最も多かった一方で、10分と答えた人も16.99%にのぼりました。

 「仮に1日10通のメールを作成しているとして、1通に5分かかればトータルで50分。受信メールが50通あれば、1通1分で読むとこちらも50分。1日に合計100分くらいメールに時間を使っているわけです。これは誰でも80分に減らせると思っています。1日わずか20分でも、1年積みあがると80時間、つまり2週間分の仕事の節約になるんですよ」

 こう話すのは、日本ビジネスメール協会代表理事の平野友朗さん。平野さんはビジネスシーンにおけるメールスキルの標準化やメール処理の効率化の重要性にいち早く着目、「ビジネスメール教育の専門家」として、企業への研修や講演も多数手掛けています。

メールの処理は時間を決めて集中的に行う

 会社にメール研修があるといった一部の人を除けば、メールの書き方や処理の仕方をきちんと教わったことがある人はほとんどいないはず。いったいどこから見直せばいいのでしょうか。

 「まず前提として、仕事の効率を上げようと思ったら、やるべき業務をすべて把握することが大切です。いつ、何を、どのくらいの時間をかけてやるという『時間割』を作り、その通りにこなす。仕事をしながら『次に何をやろうかな』と考えている時点で時間のムダです。

 そのうえで、メールの処理も時間を決めて行います。私がすすめるのは、朝と夕方にまとまった時間をとって集中的にやる方法。そこからもれたものは、業務のすき間時間に処理します。

 気をつけてほしいのが、『これは返信に手間取りそうだから夕方に回そう』という考え方。これをやるとどんどん後回しになって、次の日に持ち越したりすることになりかねません。ビジネスメールはその日のうちに返すのが原則。どんなメールも例外なく『これは5分』『これは10分』と決めて、時間内に処理していきます。時間はかけようと思ったらいくらでもかけられますが、5分で書くと決めればできるものでもあるんです」(平野さん)

 時間の感覚を身に付けるために、最初はタイマーをセットして書くといいそうです。やがて「この内容なら次の会議までの3分で書けるな」などと見通しが立つようになり、より効率よくさばいていくことができます。

 一方で、ミスのお詫びといったデリケートな内容のメールは書くのに時間がかかるものですが、「そもそもこうした難易度の高いものをメールで書けるスキルがある人は少数」と平野さん。話を余計にこじらせて、さらに膨大な時間を使う可能性があるようなものは、全部電話にすべきだと話します。

 メール処理の時間を短縮する方法はほかにもあります。カギを握る要素は「通数」と「かける時間」を減らすことです。

<次のページからの内容>
● CCを多用すると誰も読まなくなる
● 失敗をなくすことが、効率化の早道
● メール処理は「仕事」にあらず、時間のかけすぎは禁物
● 今すぐ実践! メール処理の高速化のポイント
● 教えて! デキるビジネスパーソンのメール術/グーグル 日本法人専務執行役員CMO岩村水樹さん/ポピンズ社長 轟麻衣子さん/アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部シニアマネジャー 越智聡さん/米クックメディカル副社長 バリー・トーマスさん/サイボウズ社長 青野慶久さん