「お迎えの時間があるので、子どもを持ってからは必然的に生産性が上がった」というのはよく聞く話。人事考課に「時間生産性」の評価を設ける企業も現れ、時短社員、正社員にかかわらず、生産性向上は今や重要なテーマです。特集の第5回では、毎日膨大な業務をさばく、大手外資系コンサルタントの役員に、業務効率を格段に上げる仕事術を伺いました。

【仕事時間プライオリティーの法則特集】
(1) 「仕事と育児の両立 生産性アップは時代の要請」
(2) ポピンズ社長 第一優先は「家族」と公言!
(3) グーグルCMO テクノロジーはこうして味方にする
(4) 時間泥棒「メール」はスキルを磨けば誰でも高速化
(5) 外資系コンサルが伝授!超実用「倍速」仕事術 ←今回はココ

「ショートカットキー」活用の時短効果は絶大

 「我々は“時間当たりいくら”でクライアントに雇われている身ですから、時間当たり生産性を考えて仕事して当たり前です」と語るのは、大手外資系コンサルティング会社で役員を務める鈴木正道さん(44歳・仮名)。鈴木さんの“倍速”仕事術のノウハウは、育児と仕事の両立に追われるDUAL読者の助けにもなるはずです。

 数年前まで、現場で膨大な情報を分析し、顧客向けプレゼン資料を作る作業に没頭していた鈴木さんは、「睡眠時間を確保するという目的もあり、生産性を上げる方法を常に考えていました」と言います。「仕事って、その日のうちに終えるべきものが仮に終わったとしても、翌日にはさらなるタスクが降り掛かってくる――。増えることはあっても、減ることはほとんどありませんよね。だから、『生産性向上』は働く人なら必ず身に付けるべきスキルだと思うんです」

 そんな状況の中、鈴木さんがまず身に付けたのがパソコンの「ショートカットキー」の活用です。今や、鈴木さんの勤務先の新入社員は全員必ずショートカットキーを研修で学ぶほどです。

 「コンサルタントは膨大なデータの分析が大事な業務の一つです。分析作業中は、指はできるだけキーボードの上に固定しておいたほうが効率が上がります。マウスを触るのは、マウスを触らなければできない作業のときだけに限ります。私の場合、右手をマウスの上に移動させるときは、今でも無意識に左手の小指がコントロールキーに移ってしまうほど、ショートカットキーが染み付いています」

 左手の小指をコントロールキーに移すのは、なぜか? それは、「マウスを使うときは、コントロールキーやシフトキーなどを組み合わせて、複合的な操作を行うことが多いから」と鈴木さん。例えば、「フォルダA」から「フォルダB」にファイルを移動させるとき、コントロールキーを押しながらドラッグすれば、ファイルのコピーと移動を同時に行えます。「コピーせず、移動だけさせたい場合は、コントロールキーではなく、シフトキーを押しながらドラッグすればいいのです」

 ショートカットキーは、アプリケーション(ワードやエクセルなど)を操作するためのものと、それ以外のものに分けられます。「仕事によって、使うショートカットキーは違います。自分の仕事の中で、『これをもっと速くできないかな』という作業があったら、試しにウェブで検索して探してみると、便利なショートカットキーが見つかるはずです。これは時短につながりますよね」

 次ページでは、鈴木さんオススメのショートカットキーをいくつか紹介します(ここではウィンドウズ版PC)。

<次のページからの内容>
● 鈴木さんオススメのショートカットキー一覧
● 生産性を150以上にする「『思考』と『作業』の分離」とは?
● プレゼン資料を作成する前にやるべきこと
● パソコンのデスクトップには何も置かない
● 必要なデータファイルを10秒以内で見つけるコツ
● 1時間に1度「今、僕、何やってるんだっけ?」と自分に聞く