中学受験には親のサポートが不可欠。でも、共働きのデュアラーは仕事との両立が大変! 自分なりには一生懸命やっているつもりだけど、本当にこれでいいの? そんな親たちが知りたいのは、受験生の親を経験した先輩デュアラーのリアルな体験談。

そこでDUALでは、受験を終えた先輩親に、共働き家庭での中学受験について根掘り葉掘り聞いてみました。リアル中学受験体験談をお伝えします(取材対象者はすべて仮名。学年や年齢は取材当時)。

《プロフィール&共通データ》

父:佐伯健一さん(43歳・会社員)

長男:颯太くん(2022年4月から都内の私立中高一貫校に進学)

【家族】 母(43歳・公務員)

【通塾】 地元の個別指導塾 小4の9月から通塾

【受験校】 1月10日午前=大宮開成中× 午後=西武台新座中(2科)◎ 2月1日午前=高輪中× 午後=佼成学園中(2科)◎ 2月2日午前=獨協中◎ 2月3日午前=都内の私立中高一貫校◎ 2月4日午前=高輪中× 2月6日午前=東京都市大付属中×

【受験総費用】 約180万円

【習い事】 水泳(4歳~小6)、ピアノ(小1~6)

【受験以前の家庭学習】 公文(小1~6)

高校入試に不安、のびのび過ごすには中受もアリ?

日経xwoman DUAL(以下、──) 中学受験をしようと考えたのはいつごろですか?

佐伯健一さん(以下、佐伯さん) 漠然と考え始めたのは4年生のころです。実は、息子にはADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の2つの発達障害があります。小学校に上がる前にそれが分かり、以来、私と妻は息子をどういうふうに育てていくのが息子にとって幸せか常に話し合ってきました

 その中で私たちが出した答えは、「とにかく息子が毎日楽しく過ごせるようにしてあげたい」ということ。小学校は通常級に在籍していましたが、通級指導教室にも通っていました。幸い、先生にも友達にも恵まれ、楽しく学校に通っていました。

 しかし、その先のことを考えたとき、授業を集中して聞くことが苦手な息子は、中学校の内申点で低い評価になってしまい、高校入試で苦労するのではないかと感じるようになりました。加えて、中学校を卒業後にまた新たな環境で高校生活を送らせるよりも、中学・高校の6年間を通じて生涯にわたって付き合える友達をつくってほしいとも。そうしたことを考えると、中学受験をさせるのもアリなのではないかと考えるようになりました。また、息子にも成功体験をさせてあげたいという思いもありました。

 私自身も中学受験経験者なので、中学受験が厳しい世界であることは十分理解していました。ですが、幸いなことに息子は、中学受験の主要科目といわれる算数がもともと得意。「得意なことを伸ばしてあげたい」と考えた妻が、幼いときから息子を公文の教室に通わせていたことが生きると感じ、実際にそれが中学受験で大きな力となったのです。

―― 塾選びは何を基準に決めましたか?

佐伯さん 学童に通えなくなった小学4年生の春になってから入塾を考えました。ただ、その頃はまだ「中学受験をする」とは決めていませんでした。最初は集団塾を検討し、いくつかの塾で体験授業を受けましたが、やはり息子には合わなかったようで、本人も「ムリ!」と言っていました。最終的に優しい先生がいる個別指導塾にたどり着きました。1カ月の月謝は60分授業が週2コマの4年生で1万5000円、週4コマの5年生で3万円、週8コマの6年生で6万円ほどと、費用は少し高かったけれど、何よりも生徒一人ひとりと向き合ってくれる“面倒見の良さ”に引かれました。

 受験をするかどうかは決まっていなかったものの、4年生の秋ごろからいくつかの私立中高一貫校の文化祭に足を運んでみました。受験をするにしても、息子の場合は受験勉強の負担が少ない2科入試になるだろうと思い、家の近くで2科入試を実施している学校を中心に訪れてみました。

 親の働きかけの影響もあったと思いますが、5年生になるころ「俺、やっぱり受験してみようかな」と本人から言い出し、5年生から同じ塾の受験コースに切り替えることにしました。しかし、息子は集中することが苦手です。また、性格上、無理をさせることは禁物なので、偏差値の高い学校を狙うというのは最初から選択肢にありませんでした。息子に合った学校に入れればいい。それが私たち夫婦の共通の考えでした。