パソコンに親しんでいたことで、世界が広がり、起業もスムーズに

──子どものころからパソコンに親しんだことで、どんなメリットがあったと思いますか?

大関 私がビジネスオーディションで発表したのが、私のように起業したい若い人が集まって、企業の商品開発にチームで参加させてもらい、そこで対価を得る代わりに、私たちは起業に向けた経験値や社会経験を積めるという仕組みでした。

 ところが自分の周りには、起業したい人がいなかったんです。だから、インターネットを通して、同じようなマインドの人とつながっていました。もしパソコンを使っていなければ、自分の身の回りの世界だけで完結してしまい、モチベーションを得ることができなかったと思います。

 高校2年生のときに、ものづくりで何か起業したいと考えたときも、世の中の流れや知的財産がどうなっているかなど、いちいち本を買いに行って時間をかけて読むよりも、知りたいと思ったことをインターネットなら瞬時に得られるのが大きかったです。実際に商品を開発し、知的財産を取得するときも、ウェブがあったおかげで、費用を抑え、時間を短縮することができました。

 アパレルで起業したので、自分でECサイトやウェブサイトを作りました。SEO対策なども自分なりにやっていて、コスト面で助かりました。

 起業した当初は自分の給料は出なかったので、クラウドソーシングでHTML制作やウェブデザインなどのウェブ制作をしていたんです。結構稼いでいたんですよ(笑)。その経験もあり、アパレル事業を切り離して、いまの事業に移行するときも、とりあえず私ができることでキャッシュを稼ぎつつやることを考えようと思い、ウェブ制作事業をはじめました。それがふくらんでいまのPRなども行うようになり、事業として落ち着きました。

会社設立に必要な手続きなどに関する情報収集も、1人でパソコンを駆使して行ったという。
会社設立に必要な手続きなどに関する情報収集も、1人でパソコンを駆使して行ったという。

──なぜ高校生で起業したいと思ったのですか?

大関 親戚に起業している方がいて、自由に楽しそうに働いているのが子ども心に新鮮で。遊んでいるのと働いているのが近しく見えて、憧れがありました。

 それと、働きたいという思いがずっとあったんです。小学生のときに画像編集ができたので、親戚からお小遣いをもらう代わりに画像加工のタスクを私がやっていたんです。そのときに、自分は役に立っている、社会に貢献しているという達成感がありました。

 小学校5年生のときに両親が離婚をし、母が夜遅くまで働いていました。長女で責任感が強かったこともあり、将来母をラクにさせるためには、普通に働くのではなく、社長になった方がお金が手に入るのではないかと、思ったんです。

 起業したら、裕福な暮らしができて、しかも楽しく働くことができるのに、なんでみんなやらないのだろう、と当時は思っていました。実際はそう簡単にはいかなかったですけどね(笑)。

パソコンは自己実現のツール。子どもの自己肯定感につながる

大関 いま振り返ると、パソコンは自己実現のツールだったと思います。小さい頃は本を読むのが好きで、頭のなかでいろいろなことを考えていたのですが、人見知りで自分が本当に考えていることを表現する手段に乏しかったんです。

 親が引越をしたときに転校して、いじめられた経験もあったので、なおさら人とのコミュニケーションが苦手で、自分の思ったような自己表現ができませんでした。

 それを満たしてくれたのがパソコン。パソコンがあれば学校の友達ではなくても、外の人とつながれるし、パソコンを使い自分で何かをすることで、大人を喜ばせて価値を生み出していくことができる。それが自己肯定感につながったんです。パソコンが自分の体の一部のような感覚でした。