中学受験には親のサポートが不可欠。でも、共働きのデュアラーは仕事との両立が大変! 自分なりには一生懸命やっているつもりだけど、本当にこれでいいの? そんな親たちが知りたいのは、受験生の親を経験した先輩デュアラーのリアルな体験談。

そこでDUALでは、受験を終えた先輩親に、共働き家庭での中学受験について根掘り葉掘り聞いてみました。リアル中学受験体験談をお伝えします(取材対象者はすべて仮名。学年や年齢は取材当時)。

《プロフィール&共通データ》

母:杉山優子さん(42歳・広告)

長女:杉山楓さん(2021年4月から慶応中等部へ進学)

【家族】 父(45歳・金融)・長男(小5)・次男(小1)

【通塾】 小4の9月~栄光ゼミナール

【受験校】 1月10日=栄東中◎ 2月1日=青稜中学◎ 2月2日=広尾学園× 2月3日(1次)・5日(2次)=慶応中等部◎

【受験総費用】 約220万円

【習い事】 クラシックバレエ(4歳)、バイオリン(3歳~4歳)、空手(小1~小3)

【受験以前の家庭学習】 公文(小2から半年間)、Z会(小3~小4夏)

「バレエもバイオリンもママのためにやっている」

日経DUAL編集部(以下、──) 中学受験をさせようと考えたのはいつごろですか?

杉山優子さん(以下、杉山さん) わが家が暮らしているエリアは、都内の中でも教育熱心な家庭が多くて、中学受験以前にまず小学校受験の話題が、保育園ママたちの間で上がるんですよね。娘が3歳の頃、私が勤めていた会社を辞めまして。これを機に教育ママになって、小学校受験をさせてみようかと思って、バレエとバイオリンを娘に習わせてみたんです。そしたら、4歳半のときに、「私はバレエもバイオリンもママのためにやっていて、自分のためにやっていない。小学校受験もやりたくない」とキッパリ言われてしまったんです。

 もともと少しませたところはありましたが、4歳にして親の下心を見抜いていたんですね。そのときに、ああ、この子は自分の意思で決めたいのだな、この子の考えを尊重しようと思ったのです。

―― それで、小学校受験はしなかったんですね。

杉山さん そうなんです。でも、エリア的に中学校受験をする子も多いんですよね。近くの大手進学塾は小学2年生クラスがすぐに埋まってしまうんです。私も夫も中学受験経験者なので、中学受験をさせたい気持ちはありましたが、小学校受験のときのこともあって、本人がやりたいと言い出さない限り、親が勧めてもダメだろうなと思っていて、しばらく様子を見ることにしました。

 変化があったのは小学2年生のときです。娘が通っていた小学校では、2年生から算数が習熟度別クラスになるんです。娘は算数が得意でしたから、本人は当然上のクラスにいけると思っていたんですね。ところが、蓋を開けてみたら真ん中のクラスだったのです。上のクラスにはどんな子がいるかといえば、みんな中学受験塾や公文に通っている子だったんです。

 負けず嫌いの娘は、「半年後に、絶対に上のクラスの一番になる!」という目標を立て、自ら公文を始めました。そしたら、半年後に本当に上のクラスで一番になって。これは、本人にとって一つの成功体験になったと思います。だけど、目標が達成できた途端、公文はあっさりやめてしまったんですよ。

―― それはまた潔いですね(笑)。

杉山さん 勉強に自信が持てるようになり、娘も中学受験をしたい気持ちになっていたようです。でも、ここで私が「中学受験をしたら?」と言うと、本人からするとやらされている感じになってしまうかもしれない。自分から「中学受験したい」と言い出すのを待っていた方がいいと思い、私からは中学受験には触れずにいました。そしたら、自分からZ会をやりたいと言い出して、始めることにしたんです。すると、また勉強ができるようになり、4年生の夏に「やっぱり中学受験をしたい」と本人から言ってきたので、中学受験をすることにしました