2019年は共働き家計には様々な変化が起こります。働き方改革関連法の施行、10連休となるゴールデンウイーク、そして秋には消費税増税、保育料の無償化。もう少し先まで見通すと、2020年には東京オリンピックが開催されます。一方で、景気が後退に転じ、消費増税も見送られるのではという声も出てきています。そんな不安定な要素もある中、共働きは「ダブルインカム」の強みをどう生かしていけばよいのでしょうか。この特集では、100年ライフに向かって攻めるべきポイントを探っていきます。第4回では、共働き家庭の資産形成について専門家に聞きました。

【ダブルインカム 攻めと守りのTo Do】 特集
(1)消費税、保育料無償化 DUAL家計はこう変わる
(2)住宅購入、増税前見送ったら次のチャンスはいつ?
(3)転職で収入アップ ワーママならではの戦略は?
(4)子育て期は少額投資で経済センス磨き、資産形成を  ←今回はココ
(5)保育料無償化 教育費の貯め時に変動あり?

堅実なDUAL世帯だけど「定年時にいきなり投資」はやめよう

 2018年に日経DUAL読者を対象にしたアンケートによると、回答者の8割が正社員、世帯年収はおよそ1000万円でした(アンケート回答者は166人。平均年齢は38.9歳。夫婦2人に子ども1~2人という核家族家庭が多数)。25.3%は世帯全体の貯蓄額が2000万円以上あると回答し、36.1%は年間150万円以上貯めていることが分かりました。持ち家率は約50%でした。

 証券会社に22年勤務する間、サラリーマンの資産形成に携わり、独立後はiDeCoの普及・活用のための活動も行っている大江加代さんは、こういった現状について「一人分のお給料で食費など生活費を賄い、もう一人の分でレジャーや習い事、それから貯蓄を支出して暮らしているのでしょう。入ってきた分をまるまる使ってしまうのではなく、1カ月に12万円以上も貯金ができているのはとても堅実です」と評価します。

 「共働きは定年後には退職金も厚生年金もダブルで入ってきます。正社員であり続けて、このペースで貯金を続けていけば、老後もそれほど心配はないと思います」(大江さん)

 とはいえ、何かとお金がかかる子育て期間、ずっと同じペースで貯金が続けられるとは限らないうえ、将来もらえる年金の受給額や期間は減ったり短くなったりするかもしれず、老後の不安はなくなりません。「将来、住宅ローンの繰り上げ返済に使う費用を今は投資に使いたい」という声や「普通預金に入れっ放しにするよりも、投資にも挑戦して老後のために少しでも増やしたい」と、株式や債券投資による資産形成への興味もアンケートには寄せられました。

 大江さんはアラフォー世帯の資産形成について次のように話します。「投資は合う人、合わない人がいます。やらなければいけないというものではないので、自分は合わないと思えばやる必要はありません。ただ、そんな方にもお伝えしておきたいのが、65歳になったとき、定年時の退職金でいきなり投資を始めるのはやめたほうがいいということです」

 退職金というのはこれまでお給料でもらっていた金額とはケタが違います。すると、「大きなお金をもらった、これからは100年ライフだし、増やさないと」と強迫観念のようなものにとらわれて、投資を始める人が多いのだそう。「しかし、いざ証券会社や銀行で説明してもらっても、初めての方には何を質問していいかも分からないということが多いのです。勧められていい商品なのだろうと思い、買ったはいいけれど、その商品がどういう時に価格が上がるか下がるかわからないまま。しばらくしたら『1000万円が700万円になっちゃっていた!』と大慌て。そんなこともあり得ます。もし、将来は投資での資産運用もと考えているなら、今から少しずつ練習を始めるとよいでしょう」と大江さん。

 老後の不安を解消したい、老後までにまとまったお金を準備したい、という人もいるでしょう。共働き子育て家庭が資産形成を考える際に気を付けるべき点やコツなどについて、次ページから見ていきましょう。

<次のページからの内容>

● 少額の積み立て投資は資産形成を兼ねた老後投資の練習
● 忙しい共働きに向くのは「つみたてNISA(ニーサ)」と「iDeCo(イデコ)」
● 転職時の退職金は老後資金。使わないように注意を
● 貯める、増やす以外の「使わない」という方法は子育てにも効く
● 貯められる夫婦になるために、まずは夫婦のお金の流れを整理しよう