物体の動きやエネルギーがカラーで見える

―― 誓約を達成するために、上手な人のフォームをまねしたりはしないんですか?

スノーボードをする緑夢さん
スノーボードをする緑夢さん

成田 しないです。例えばゴルフは、ボールをクラブで打って、いかに少ない打数でホールに入れられるかを競う競技ですよね? 大事なのはきれいなフォームで打つことではなく、ボールを効率よくホールに向かって飛ばしたり、転がしたりしていくことのはず。ゴルフという競技の概念、特性をよく理解して、そのために最も効率のいい練習を考えて、実行しているんです。

 こんな話をすると人から変な人扱いされちゃうんですけど、僕は物体の動きや動作がカラーで見えるんですよね。物体にどんなエネルギーが加わっているのかということを考え過ぎたせいかもしれませんが、正しくエネルギーが伝わっているときは赤っぽく見えたり、そうでないときは青っぽく見えたりするんです。これはけがをする前にトランポリンをやっていたころからそうで、自分の周囲にあるエネルギーを自分の体に取り込むようにして飛ぶと高く飛べるような、そんな感覚があって、それから色で見えるようになりました。

―― なかなか一般の人には理解できない感覚かもしれませんね…。ちなみに東京オリンピックで挑戦しようと考えている競技はまだ検討中とのことですが、本当にまだ決まっていないのでしょうか?

成田 まだ決めていません。今は、どんなスポーツでも対応できるような自分の基礎能力、根幹と呼ぶべきものを鍛えている段階です。車で例えるとエンジンですね。エンジンの機能をできる限り高めることができれば、あとはスポーツに合わせて外装部分を組み合わせれば力を発揮できると思っているんです。

 例えば、街乗りをしようとしている人って、エンジンも外装もすべて街乗りに合わせてカスタマイズしようとする、そんなタイプのアスリートが多いと思います。でも僕は、最高のエンジンさえあれば、街乗りでもサーキットでもオフロードでも、どこでも走れると考えているんです。外装部分だけ、サーキットならボディーをフラットにするとか、オフロードならタイヤを変えるとか、そういうマイナーチェンジで十分対応できます。今回のゴルフにしても、集中力というエンジン部分に当たる機能を高めているわけです。

―― 純粋なアスリートとしての機能を高めれば、どんな競技でも対応できるというわけですね。とはいえ、東京オリンピックは2020年ですから、どこかの時点で競技を固めないといけないと思いますが、そのタイミングについてはどうお考えですか?

成田 それもまだ決めてないですね。今はとにかく誓約書との戦いを通じて、毎月、毎週、毎日の密度を高めて、自分をどんどん成長させることだけに集中しています。他のことは一切考えていません。これが僕の言う「目の前の一歩に全力」ということです。

 ただ出場する競技については、そのスポーツの流れみたいなものはよく見極めたいと思っています。スポーツにもトレンドや時代の流れみたいなものがあって、今まさに盛り上がっているもの、逆に一時期ほどの人気はないもの、様々あります。僕は東京「パラオリ」に出場して見る人に勇気を与えることが目的なので、競技自体はなんでもいい。出られる可能性が高く、自分の能力やスキルとの相性などを見て、総合的に判断して決めていくと思います。