「泣いた赤ちゃんにイラっとしちゃう。私はダメ親だ」「子どもを預けて、女の人が働くのは悪いことなの?」「どうしてうちの子はご飯をちゃんと食べてくれないんだろう」。そう思ったことはありませんか?

育児の悩みも、「ヒトの進化」に理由がある……。オランウータンの研究者、久世濃子(くぜ・のうこ)さんのお話でそんなことが見えてきます。久世さんは、毎年、東南アジアのボルネオ島(マレーシア)に行き、フィールドワークをしています。乳児を背負って密林の中でオランウータンを追いかけたこともあるそうです。

経験をまとめた著書『オランウータンに会いたい』(あかね書房)は2021年の夏休みの宿題の読書感想文、高学年課題図書に選ばれました。久世さんの大人気連載を再掲載します。 (DUAL特選シリーズ/2019年4月3日収録記事)

オランウータンの赤ちゃんは静かで泣かない

——さっそくですが、サルとヒトの子育てで、最も違うことを教えてください。

久世濃子さん(以下、久世)顕著な違いは、 サルの赤ちゃんは泣きませんが、ヒトの赤ちゃんは泣くことです。

久世濃子さん
久世濃子さん

 オランウータンの赤ちゃんを森の中で観察していていつも感心するのは、 赤ちゃんがすごく静かで、お母さんの邪魔にならないことです。お母さんは、朝起きてから食べ物(果実や葉)を探して一日を過ごします。夕方になると毎日違う木の上で、枝を折り畳んでベッドを作って寝ます。

 赤ちゃんはこの間、ずっとお母さんのお腹に抱きついて、自分のペースで母乳を飲み、昼寝します。ヒトみたいに、泣いて駄々をこねることがないんですよ。

オランウータンの親子
オランウータンの親子

次ページから読める内容

  • 赤ちゃんは「泣く」というムチと「ほほ笑み」というアメを使いこなす
  • 人類誕生の頃から、共同保育が始まっていた
  • 虐待は、お母さんを孤立して追い込んだ状況こそが問題

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