同じ共働きで、世帯年収はあまり変わらなさそうなのに、高級エリアのマンションを買ったり、頻繁に豪華な旅行をしたり、子どもたちにお金のかかる習い事をいくつもさせている。周囲にそんな家族はいませんか? ついつい家計がどうなっているのか気になってしまいますね。そこで、日経DUALでは、読者アンケートを行い、デュアル世帯の家計について計70問に及ぶ大調査を行いました。そのアンケート結果からは、デュアル世帯は共働きでも浪費には走らず、がっちりと貯める傾向があることが分かりました。住宅ローンの返済額を家計が苦しくならない範囲に抑えるなど堅実な一方で、子どもの習い事は「必要経費」、レジャーには「子どもが小さいうちに」と出費を惜しまないという特徴もあります。特集第3回では、ファイナンシャル・プランナーの内藤眞弓さんに、貯め方・保険・投資についてのアドバイスをもらいました。

【気になる! 隣のデュアルの家計事情】 】
(1) 堅実?浪費?デュアラーの家計実態を大調査
(2) 共働きのレジャー・習い事費、住宅ローンはこう払う
(3) 貯めどきは上の子小3まで 年間300万目標の内訳 ←今回はココ
(4) 「もしかしてお金持ち?」に見える人のやりくり事情
(5) 島地勝彦 親がまず自分に投資し“人生”を磨け

本アンケートは2018年2月に読者に対して共働き家計の状況を調査したもの(2018年2月7日~21日調査。読者166人が回答)。記事中のグラフの数値で合計が100にならないのは小数第2位以下を四捨五入しているためです。

中学受験をするなら「年150万円の貯蓄額では足りない」!

編集部O(以降、O):今回は教育費からスタートして、共働き家計の貯め方、夫婦で家計をどう共有するかについて、内藤眞弓先生にお話をお聞きしたいと思います。

編集部F(以降、F):保険の加入の仕方や投資について知りたいという声も多かったので、後半でそのあたりもお聞きしましょう。

O:まずは教育費です。中学受験をして私立に行かせたいという声も多いようです。となると、小3~4から塾通いが始まりますね。中学受験の塾代はトータルで200万円ともい言われています。日経DUALのアンケート結果でも塾代が毎月5万~6万円、6万円以上という方が12%以上いました。収入の4分の1が教育費に消えるという方もいましたね。

F:文部科学省の平成28年度「子供の学習費調査」によると中・高で私立に行った場合の6年間の学習費総額は約709万円です。子どもを2人私立に行かせたら1500万円近くかかります。子どもが私立に通っている読者の家庭でも、毎月5万~10万円はかかっているようです。

F:今回のアンケートの回答者はお子さんがまだ幼児、小学校低学年の方が多いので、まだ先のことと感じているかもしれません。今から準備をしておいたほうがよいのでしょうか?

教育費ピーク、私立中に行ったら10年続く(内藤)

内藤眞弓先生。共働き家計へのアドバイスも得意
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 はい、お答えしましょう。
 皆さん、改めまして、こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの内藤眞弓です。前回の記事では年間150万円貯蓄をして、2000万円貯めている皆さんのことを褒めましたが、お子さんを私立に行かせるとなると、話は変わってきます。実はそれでは足りなくなるんですよ。

 子どもが小さいうちの習い事は「必要経費」「将来への投資」と考えている方も多いようですね。しかし習い事はできるだけ本当にやりたいことに絞って、その分を教育費に回すことこそが、より現実的な「将来への投資」です。

 前回も言いましたが、子どもが保育園児~小学校低学年時代というのは、共働きの唯一の貯め時なんです。まだ塾に通う年齢ではありませんから、保育園時代は保育料だけです。公立小学校に入ればその保育料も浮きます。その分も貯蓄に回すことができますね。

 でも、小学校3~4年生になったらどうでしょう。中学受験をする子は塾に通い始めます。学童クラブがなくなるので、その後の居場所として塾に通う子も出てきます。それまで貯蓄に回していた150万円の半分くらいは塾代になってしまいます。そのとき、年間150万円しか貯蓄ができない家計体質だったら、年間貯蓄額も半分になってしまうんです

 中学受験が終わったら今度は私立中学、高校の学費です。「教育費のピーク」とよく言いますが、ピークは中学・高校の6年間+大学の4年間の10年間、ずっと続きます。その間、年間の貯蓄額は減ったままです。2人同時に私立に通う時期には、貯金を取り崩す必要も出てきてしまいますよ。ようやくピークが終わったとき、自分は何歳になっていますか? 会社の状況はどうでしょうか。その時点から老後資金が貯められますか?

 ですから、子どもが幼児~小学校低学年のうちに、今以上の貯めグセをつけていただきたいのです。
 では、中学受験を予定しているデュアル家庭は1年でいくら貯めたらいいと思いますか?

<次のページからの内容>
● デュアル家庭は1年にいくらためたらいい?
● 夫婦で家計を共有していますか?
● キャッシュフローを描くことが大切な理由
● デュアル世帯に本当に必要な保険の選び方
● 共働きに一番合う投資とは?
● 夫婦、親子、きょうだいで風通しをよくしておこう
● いくらでももらえたら何に使う? 読者の夢を発表!