家事も育児も仕事も完璧にこなすスーパーパパは、目指さなくていい。

やめる習慣、始める習慣についてさまざまなアドバイスを受けてきたこの特集。前回に続き、実際に「仕事」や「働き方」を変えたりやめたり始めたりすることで、いい家族関係を築いているパパ6人に直撃。今回登場するのは、仕事の環境が変わったことで、妻との関係、家族との関係が変わったパパ3人。

やみくもに家族優先で動かなくても、働き方や仕事環境を見直すことで、パパとして、夫としての生活が向上するのかもしれません。

早速皆さんの「やめたこと」「始めたこと」を聞いていきましょう。

【行動から変える パパの「やめる習慣、始める習慣」】
(1) 家族が笑顔でいるために「やめる」ことから始めよう
(2) 残業、家事、完璧主義…まず手放すべき6つのこと
(3) 「妻のニーズ」を聞きながら上手に“サボる”方法
(4) 働き方、妻との関係 子ども誕生で変えたパパ3人
(5) 妻留学でワンオペ経験パパも 転換点は妻だった ←今回はココ

やりたい仕事を始めた結果、家庭を大事にすることにつながったパパ

きっかけは起業後に妻が倒れたことだった

 まずは第一子の妊娠をきっかけに事業のアイデアが浮かび、独立を決意。準備期間を経て起業したことが、結果的に家庭を大事にすることにつながったというパパの登場です。

Mi6 代表取締役CEO 川元浩嗣さん

家族構成:川元さん(35歳)と妻(34歳)、長女(年中)、次女(2歳)の4人家族
ここを変えた:都市銀行から系列VCを経て独立
ここが変わった:『休日パパ』から保育園の送り&週1~2回のお迎えもできる『平日もパパ』に
平日タイムスケジュール:起業前は朝6時30分ごろ家を出発し、夜は早くても22時、遅いと23~24時に帰宅する生活。起業後は朝は5時30分ごろ起床、身支度をした後に、朝食を作り7時までに食べ終えて7時20分までには家を出発。お迎えも週1~2回は担当している

 2017年1月設立のパパコミュニティー「Papa to Children(通称PtoC)」の代表理事を務める川元浩嗣さんは、都市銀行に8年半、系列VCで半年勤務した後独立し、現在Mi6代表取締役CEOを務めています。独立のきっかけは妻の第一子妊娠。というと、家庭を大切にしようと思って働き方を変えたのかと思ってしまいますが、川元さんの場合は「家庭のために起業したのではなく、妻の妊娠を機に事業のアイデアが下りてきて決意した」 のだといいます。

 「妻には独立から1年でめどが立たなければ諦めるので、その間は好きにやらせてもらいたいと相談。『総論賛成・各論反対』だった妻の条件は、働けているうちに今(当時)の収入と同じくらいの目処を立てることでした。しかし、結局1円も売上が見込めないまま起業することになった僕を受け容れてくれた妻には頭が上がりません」

 第一子が誕生後、起業まで1年半準備期間を設けた川元さんは、その間は朝6時30分ごろ家を出て帰りは22~24時帰宅という毎日。

 「平日は育児できず、『休日パパ』状態。妻(大手電機メーカーの正社員)は育休中でほぼずっとワンオペ。長女は生後3~4カ月の頃、寝かし付けに苦労していて、23時ごろ帰宅したら妻がソファでぐったり……という姿に『これはまずい』と頑張って協力しても、僕もうまく寝かし付けられるわけではなく、夫婦ともに疲労困憊(こんぱい)。ほとんど眠れぬまま6時に起きて会社に行くけれど、妻には全く感謝されないということもありました。今思えば、育児に関わる時間が圧倒的に少なくて、あれもこれも何をしても妻と同程度の親レベルには到底達せず、妻の不満はたまるし、僕自身は居心地が悪さと頑張っても報われない徒労感を感じていました」

 さらに、起業後もすぐに家庭生活が改善されたわけではなかったそうで、当初は土日は事業立上げの疲れからぐったりして戦力になっていなかったといいます。

 そんな川元さんが生活をガラッと変えたのが長女が保育園に通い始めた起業1年目の年末、妻が倒れてしまったことが転換点となりました。

<次のページからの内容>

● 妻との会話が足りない分は交換日記で補った
● アクセンチュアのパパは働き方改革+カナダでのワンオペ生活で変わった
● 何も言われなくてもすべての家事をこなせるようになってきた
● 妻の状態に合わせて自分の家事負担分を増やしてきたパパ
● 会社の制度を活用して家庭を大切にしながら、自身のキャリアも向上させていく
● 3人のパパ、それぞれの「やめた」「始めた」4つのポイント