「根性論」では幸せになれない

 体力、時間、お金というリソースが最も不足するのが子育て期、と徳倉さんは指摘します。ややもすると「根性論」でなんとかしようとしてしまうところですが、それは田中さんが指摘するように“疲弊したイクメンブルー”を生んでしまうだけ。限られたリソースをどう配分すれば最も家族と自分の幸せにつながるのか、そこを考える必要があるのです。

 この特集では、4月からの新生活でこれまでよりも家庭にコミットして、自分も家族も幸せになれるワークライフバランスを実現するために、まずはこれまでの習慣や考え方を見直し、手放すべきことの見極め方を紹介していきます。やるのが当たり前だと思っていた仕事や、社会人はかくあるべきと思い込んでいたことを、思い切って「やめる」ところから始めてみませんか。

 その上で、家族のために自分ができることややるべきことは何か、一体何から始めればいいのか分からないというパパへ、4月から取り入れていきたい「新習慣」について考えていきます。

 まっさらな頭で自分の行動を見直し、思考を切り替えて、行動を変えていくことで、「義務感」ではなく主体的に仕事と育児を楽しめる、そんなパパになれるヒントが満載です。次回以降、具体的なノウハウや思考の切り替え方について紹介していきます。

取材・文/田中裕康(日経DUAL編集部) イメージカット/鈴木愛子

田中俊之
田中俊之 1975年、東京都生まれ。大正大学心理社会学部准教授。博士(社会学)。専門領域は男性学、キャリア教育論。武蔵大学・学習院大学・東京女子大学等非常勤講師、武蔵大学社会学部助教を経て、2017年より現職。男性学の第一人者として、新聞、雑誌、ラジオ、ネットメディア等で活躍している。著書は『男性学の新展開』(青弓社)、『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』(KADOKAWA)、『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社+α新書)など多数。
徳倉康之
徳倉康之 ファミーリエ代表取締役社長
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事
香川大学大学院地域マネジメント研究科特命准教授
1979年生まれ、香川県出身。法政大学卒業後、大手日用雑貨メーカーで法人営業を担当。2009年に長男誕生後、共働きの妻とキャリアや働き方を相談し、8カ月の育児休業を取得する。次男・長女誕生時にもそれぞれ育児休業を取得。2011年NPO法人ファザーリング・ジャパン会員として参画し、その後同法人に転職。2013年に同法人理事に就任、独立を契機に、故郷の香川県に移住。2015年に「家族が主体の働くカタチを創造する」企業、ファミーリエを創設した。