自分と家族が幸せになれる働き方を自分たちで見つける

 そんな状況の中、男性はこれまで通りしっかり仕事をして生活費を稼ぎつつ、プラスアルファで家事や育児を担うことが求められています。言うはやすし、行うは難しで、これは誰にでもできることではありません。田中さんは「風潮と現実は違う」と続けます。

 「男性もしっかり家庭に参加していくことが求められ、実際にそうした父親が増えています。このこと自体はとてもいいことですし、変わっていくべきだと思います。しかし、先ほど申し上げたように、日本の現実は依然として『性別役割分業社会』です。相対的に賃金の高い男性に稼得役割を求める姿には変わりありません。

 “風潮”に乗ろうとする真面目なパパほど、何とかしようと一生懸命に頑張って、結果として疲弊してしまって、“イクメンブルー”のようになってしまう。この社会情勢の中で、安易に『いまどきのパパは仕事も家庭も100%やるのが当たり前』と語るのは、ある意味無責任だとすら思います」

 第一子が生まれたときに8カ月の育休を取得した、ファミーリエ代表でファザーリング・ジャパン理事の徳倉康之さんも、「今のパパはロールモデルを自分たちでつくっていく必要がある」と語ります。

 「ただお金を稼いでくればよかった父親世代と違い、今は『成功』の定義も変わってきていると思います。収入さえ高ければいいのかと言われれば、そうではなくなってきている。ロールモデルが身近にいるという時代でもありません。自分と家族がいちばん笑顔になれる、そんな働き方、家庭参加の在り方を自分で新しくつくり出すんだという意識がまず必要になると思います」

 ロールモデルといえば、仕事も家庭も円滑に回す「スーパーパパ」のような存在が増えてきたように思いますが、それはお手本にはならないのでしょうか?

 「そういった“イクメン第一世代”のような人たちは確かに存在します。社会が男性の家庭参加を促す方向に変わってきたように、そういう先頭集団は確かに必要です。でも、誰でも同じようにできるわけではないし、自分のパートナーや家族が本当にそんなスーパーパパを望んでいるかといえば、それは聞いてみないと分からないでしょう。

 今はこうすれば正解、これをやっていればいいパパ、というような“正解”がない時代です。大事なことは、家族が幸せで、自分も笑って日々を暮らせているのかどうか。そのためにどうすればいいのか、何をすればいちばん幸せなのかは、家族ごとに違うはず。まずは、自分に何ができるのか、パートナーは自分に何をしてもらいたいと思っているのか、そこを考えるところから始めてほしいと思います」(徳倉さん)

 徳倉さん自身も、妻のキャリアと自身の働き方を鑑みて、第一子のときは長期の育休を取ったり、第二子、三子のときは2カ月程度の育休に留めたり、柔軟に対応してきました。「子育て期の夫婦で、どちらかが仕事でアクセルを踏むときは、もう片方はブレーキをかけたほうがいい」と徳倉さんは話します。頭のどこかで、「男が仕事にブレーキをかけるなんてあり得ない」と思ってはいませんか? 夫婦共働きなのですから、夫だけが稼得役割を担っているわけではないのです。