出産や育児時の恨みは一生忘れない

 女性はおなかに子どもが宿ったときから母親になります。体の変化や胎動も始まって、身体的な実感を持てるわけですが、父親は体には何の変化もありません。どうしてもそこで意識の差が生まれます。

 なので、できれば妊娠が判明した時点でパパになる修行を始めてほしいんです。新米パパ向けの教室や本などはたくさんあります。そうすればママの大変さが理解できて、自然にケアできるようになると思います。

 それをせずに、「俺は仕事が忙しいし、今まで通りにお酒も飲む」という態度だったら、夫婦の間に隙間風が吹くのは当然。生活態度から見直さないと、その先の夫婦生活を笑顔で送れなくなります。出産や育児のときの恨みって、女性は一生忘れないと言われていますから、気を付けたほうがいいですよ。

 僕も結婚当時は独身時代の気持ちも残っていたので、友達が家に遊びに来て、授乳中に騒いでけんかしたこともありました。妻に「うるさい!」と怒られて、「それなら外で飲んでくる!」と出て行ったら、義父から電話があり「すぐ帰ってこい! 嫁と子どもを泣かせて、何してるんだ!」と叱られたこともありました(苦笑)。そうやって言い争いがあるたびに、「なんでけんかしてしまったんだろう」と反省の繰り返し。でも、反省の繰り返しで関係は改善されて、笑顔が生まれますから。そこで「うるさいな、もういい!」ではなく、反省して、ちゃんと向き合うことが大事だと思います。

 夫婦の会話とともに、スキンシップなど言葉以外でのコミュニケーションも大切にしています。妻と付き合っているときから守り続けているルールがいくつかあるのですが、そのうちの一つは、手をつないで寝ること。今は長女だけ自室で寝て、あとの3人は僕らと一緒に川の字になって寝ているのですが、よくある夫婦の間に子どもを挟む形ではなく、夫婦が隣り合って、その両脇に子どもが寝るという体勢です。おじいちゃんやおばあちゃんになっても手をつないでいられる夫婦でいたいと思っています。

 でもこういうルールがあると効用も大きくて、例えば昼間にけんかをしても、寝る前に手をつなぐと、なんだか仲直りした気になれるんです。よく「旦那に触られるのも嫌だ」という話も聞くので、そうならないようにずっと触れ合っていようと思っています。

 子どもが間に入ってくることもありますが、そういうときはエイッと抱えて端っこに戻します。それくらい、手をつないだり腕枕をしたりといった、スキンシップは大切だと考えています。