杉浦家は妻が料理長で、僕は副料理長

 料理を作るときも、ただ作ればいいわけではなく、妻が喜んでくれるように考えています。自分から率先して作ることはあまりせず、妻のサポートに徹するのが僕のスタイル。こういうと主体性がないように思われるかもしれませんが、「今日は俺が作るんだから、黙ってて」なんて言っても、妻が喜ぶどころか、夫婦げんかの火種になりかねません。

 うちのキッチンをレストランの厨房で例えるなら、妻が料理長で、僕は副料理長。あくまで妻のやり方に準ずるようにしています。妻がすごく疲れてそうで、動くのがおっくうそうなときは、「今日は作ろうか?」と言って僕が料理しますが、そうでないときは彼女のサポート役に回るようにしています。

 話をまとめると、夫婦げんかを避けるコツはとにかく「妻の空気を読む」。それが一番のコツですが、世の中のパパにとっては最も苦手なことだとも言われていますよね。アドバイスするなら、僕は妻の声のトーン、目の力の入り方、あとはため息の回数(笑)などを僕はじっと見ています。「今日はため息が多いな」という日はサポートではなく、率先して動くようにしています。とにかく妻を観察すること、これに尽きますね。子育てもそうですが、家族のことをよく見るというのはとても大切なことだと思っています。

 どうしても空気を読めないというパパは、何でも聞いてみるといいかもしれません。以前、僕は妻を励ますつもりで、「頑張れ」と声を掛けていたのですが、実はそれが気に入らなかったようで、「頑張ってと言うのは、やめてほしい」と言われました。「じゃあ、なんて言えばいい?」と聞いたら、「お願いね」とか「頼むね」と言ってほしいということでした。僕の「頑張れ」が妻にはプレッシャーになっていたようです。だから今は「頑張れ」は封印して、「お願いね」と言うようにしています。

 家事にしろ育児にしろ、分からなければそのたびに聞いてみる。声掛けも同じです。どの夫婦にも、言われたくないNGワードはきっとあるもの。一度確認してみるといいと思います。そうすれば妻の機嫌もよくなって、家族みんながハッピーになれるのではないでしょうか。

取材・文/宇野安紀子 撮影/谷本結利