4児の父として、家事育児に主体的に取り組むイクメン代表との呼び声も高い、俳優の杉浦太陽さん。そんな杉浦家の家庭円満の秘訣を紹介する連載です。

杉浦さんの家族愛、夫婦愛の根底にあるのは「妻を大切にすることが、家族全員の幸せにつながる」という“妻ファースト”の考え方。第2回は、妻への愛情表現やスキンシップの大切さについてです。「恥ずかしくて言えない」「言わなくても分かってほしい」というパパもいるかと思いますが、言われてうれしくないママはいないはず。杉浦さんはどのように気持ちを伝えているのでしょうか?

毎朝欠かさない“行ってきます”のハグやキス

 愛情表現やスキンシップが得意というパパは、多くはないと思います。僕ももともとそういうタイプというわけではないので、「今更照れくさい」「言わなくても伝わるはず」と思う気持ちはよく分かります。でも、何事も「言わなければ伝わらない」のは前回もお話しした通り。具体的な言葉や行動として表すことが大事なんです。

 妻は気持ちをきちんと表現してほしいと思っているし、スキンシップも大切なことなんだと気付いてからは、意識的に心掛けるようになりました。例えば、子どもを間に挟まずに妻の隣に座ったり、“行ってきます”のハグやキスは毎朝したり。2人で料理や洗い物をしている最中などにも、軽くキスしたりします。日常的に、さりげなくするようにしていますね。

 ただ、結婚当初からずっと、そんなふうにできていたわけではありません。仲良し夫婦と言ってもらえるようになった僕たちにも、離婚の危機がありました。結婚3年目くらいのことですが、当時は旅番組をたくさんやらせてもらっていたので家を空けることも多く、時間も気持ちも擦れ違いばかりでした。帰宅しても話すのは子どもだけで、夫婦の会話は必要最低限。夫婦関係は冷えきっていました。そんな状態なので家庭は居心地が悪く、ますます帰りたくなくなるという時期でしたね。

 このままでは夫婦仲は悪くなるばかり。じゃあ自分は、本当はどうしたいのかと考えたときに、やっぱり昔のような関係に戻りたいと思ったんです。そこで、妻と話し合う時間をつくって、お互いの気持ちを正直に話して確認し合ったところ、妻も「私も昔みたいに戻りたい。でも、どうしたらいいか分からない」ということでした。

 そこから初心を思い出そうと、少しずつハグをしたりして、スキンシップを増やすようになりました。心の距離感を縮めるためには、肌と肌を接することが一つの方法なのだと思います。

 スキンシップ以外にも、子どもたちを祖父母に預けて、2人きりで食事や旅行をする機会を意識的につくるようにしました。子どもが4人もいれば、2人の時間をつくるためには誰かの協力が不可欠です。そのために、あえて妻の実家の近くに住むことにしました。

 もともと僕が壁をつくらない性格というのもありますが、義理の両親とはよく一緒にお酒を飲んだり、買い物に行ったりして、仲良くやっています。妻にとっても、困ったときはやっぱり自分の親のほうが頼りやすいですよね。僕の通勤は少し大変になりましたが、それは僕が頑張れば済むことなので、妻の過ごしやすさを最優先にしようと思い、決断しました。