ホワイトデーは、かすみ草の花束に1本のバラを入れて渡す

 日常的に言葉で伝えるのはハードルが高いというパパは、記念日を使うのも一つの手だと思います。わが家は家族が多いぶん、誕生日やクリスマス、ハロウィーン、季節行事なども入れると1年中イベントだらけですが、子ども関係のイベントだけでなく、夫婦の記念日も多めにお祝いするようにしています。

 結婚記念日やお互いの誕生日、入籍記念日、バレンタインにホワイトデー、あとは「いい夫婦の日」にもお祝いをしています。記念日があると、その日に向かって頑張れますよね。例えば、うちではいい夫婦の日は子どもを預けて2人きりで食事に行くと決めています。きっかけは「語呂がいいから、ごはんでも食べに行こう」と僕が言い出したこと。コース料理を食べながら2人でゆっくり話ができますし、「今年はどこに行こうかな」とレストランを探すことも楽しいイベントです。

 そんなときの話の内容は、ほぼすべて子どものこと。4人いたら4人ぶんの話があって、小学6年生の話、3年生の話、1年生の話、乳児の話、それぞれの年齢で状況が全く違うので、いくら話しても尽きません。いい夫婦の日のお祝いをブログに載せたことで、パートナー・オブ・ザ・イヤー賞をいただいたりもしたので、お店のほうも分かってくれていてケーキを出してもらったり。いつも楽しい時間を過ごしています。

 ホワイトデーは毎年、花束を渡しているのですが、100本くらいのかすみ草の中に、お店で一番いいバラを一本だけ入れてもらうんです。その意味は「世界にはたくさんの人がいるけれど、僕はあなただけを見ています」。実はこれ、僕の父が母にしていたことなんです。

 父は割とロマンチストで、母のミサオという名前にちなんで誕生日に330本のバラを渡したこともあるとか(笑)。「そんなこと、俺にはできない!」と思っていたのですが、かすみ草の花束を一度マネしてみたら、妻がめちゃくちゃ喜んでくれたんです。そりゃあ、僕だって恥ずかしい気持ちはありますよ。でも、妻が喜んでくれると思ったら、頑張ろうという気になりますね

 花束は毎年の恒例になっていて、妻も分かっているのですが、演出を毎年工夫しています。例えば、インターホンを鳴らして妻がドアを開けたら、僕が花束を持ってひざまずいて待っている、とか(笑)。サプライズになるように、必死で考えています。妻は「今年はどのタイミングなんだろう」と、楽しみに待ってくれているみたいですね。

 多くの夫婦は結婚した瞬間が絶頂で、そこから少しずつ関係は変わっていくと思います。そんな中でも平行線を保てるように、スキンシップや記念日のサプライズなど、小さな刺激を入れていくのが大事なんじゃないかなと思います。そして気付いたら何十年もたっていて、おじいちゃんおばあちゃんになっても手をつないでいられる、そんな夫婦になれたらいいなと思っています。

取材・文/宇野安紀子 撮影/谷本結利