共働きファミリーの子育て費・教育費は、私たちの親世代とは大きく違ってきました。ファイナンシャル・プランナーの前野彩さんが「教育費の本当の話」を紹介していきます。新著『教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール(日経DUALの本) 』から、一部お届けいたします! 今回のテーマは「オトナ夫婦の教育費リスク」です。

イラスト/エイイチ
イラスト/エイイチ

子どもが大学入学するとき、パパは定年退職や再雇用

 晩婚化や晩産化が進んでいるため、「オトナ夫婦」、つまり、高齢のママ・パパが増えています。高齢での出産は、親の収入レベルが高いという経済的な強みはありますが、同時に弱点もあります

 ひとつは、子育てへの体力&気力です。そしてもう一つは、どうしても直視しなければならない「教育費の後ずれリスク」です。

 子育て計画をたてるとき、ママの年齢を基準に考えていませんか? 実は、教育費をママの年齢で考えていると、思わぬ落とし穴があります。

 たとえば、ママは30歳で出産しましたが、パパのお年は結構上。パパが45歳のときに子どもが生まれたとすると、子どもが大学に入学する19歳のときに、パパは64歳です。そう、定年退職をしているか、現役時代よりも低い年収で再雇用として働いているのが現実です

 共働き家庭で、ママが子どもの大学費用を稼げる十分な収入があれば問題ありませんが、足りない場合は、坂を転げ落ちるように貯蓄が減っていきます。そうならないために必要なのが、乳児・小学校時代の貯蓄と支出の見直しなのです。

「オトナ夫婦」は子育て支援制度を利用できないことも!

 40代で子どもが生まれた「オトナ夫婦」は、生活のレベルが高くなっている時期に赤ちゃんを迎えるので、ついつい教育費も高くなりがち。幼児教育や英語でのアクティビティ、食育も兼ねた美味しいレストランに、受験や留学で最高の教育を……と「子どもにかかるお金は聖域」になりがちです

 しかしながら、行政による子育て支援制度は、所得制限があるものがほとんど。

 子ども一人の場合、児童手当は年収約833万円以上になると、月額1万5000円のところが5000円に減額されますし、奨学金や国の教育ローンも高収入では借りられません。子どもが大学に入学しても、教育費に充てる貯蓄がないということになれば、金利が高めの銀行ローンしか残されていないのです。

 これがオトナ夫婦の「教育費の後ずれリスク」です。

 一方、パパが年金生活でも、ママが大幅に年下で働いているのなら、ママが65歳になるまでにはまだまだ時間がありますから、その間、パパの年金という安定収入に加えて、ママの労働収入で家計をまかなう方法もあります。

 いずれの場合も、パパの定年退職後に子どもが大学入学するという未来を踏まえて、子どもにかける教育費を取捨選択していきましょう。もちろん、月々の積み立ても忘れずに行ってくださいね。

子育て家族に人気のFP前野彩さんがズバリ教えます。
親世代とは違う「教育費の本当の話」!
『教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール(日経DUALの本) 』

■第1章 子育てって、ざっくりどのくらいお金がかかるの?
■第2章 ウチはどう貯める? どこまでお金をかけられる?
■第3章 ママとパパどう働く? 収入にあった幸せな生活スタイル
■第4章 親世代とは全然違う! 100年人生のお金の新ルール

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