共働きファミリーの子育て費・教育費は、私たちの親世代とは大きく違ってきました。ファイナンシャル・プランナーの前野彩さんが「教育費の本当の話」を紹介していきます。新著『教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール(日経DUALの本) 』から、一部お届けいたします! 今回のテーマは「学資保険」です

イラスト/エイイチ
イラスト/エイイチ

元本割れする学資保険が増加!

 子どもが生まれたとき、親や祖父母から「教育資金といえば学資保険」と、学資保険を勧められた人も多いのではないでしょうか

 学資保険は教育資金を貯める手段として広く知られていますが、そのイメージは、親世代の高金利時代につくられたもの。今は、支払った保険料よりも受取る満期金のほうが少ない、いわゆる元本割れする学資保険が増加しているため、「教育費イコール学資保険」とは言えない時代に入っています

 例えば、200万円の満期金がもらえる18歳満期の学資保険をパパが契約したとします。保険料をコツコツと保険会社に積み立てをして、将来子どもが18歳になったときに、満期金の200万円を受け取ります。これが学資保険の「貯蓄機能」です。

 もしも満期までの間にパパが死亡した場合は、その後の保険料の支払いは免除され、子どもが18歳になったときに、予定通り200万円の満期金がもらえます。これが「保障機能」です。(万が一子どもが死亡したときには、保険料の積み立て相当額の死亡保険金がパパに支給されます)。

 あなたの親世代のときには、「保障機能」がありつつ、「貯蓄機能」が充実していたのですが、今は学資保険で教育費を貯める時代ではなくなってきました。「でも、親が亡くなったときは、その後の保険料を払わなくても満期のお金がもらえるんでしょ?」という「保障機能」はその通りですが、親の死亡保障が必要なのであれば、他の保険で親の死亡保障を充実させたらよいだけです。貯蓄のつもりで元本割れの保険を選ぶことがないようにしてくださいね

「元本割れする学資保険」を選ばないために

 現在発売されている学資保険について解説しましょう。

日経DUAL編集部作成
日経DUAL編集部作成

 商品AもBも、子どもが大学生になるときに、一度に200万円の満期金を受け取る商品ですが、そのために支払う保険料総額を比べると、Aは187万円しか支払っていないのに対して、Bは210万円以上支払います。これがいわゆる「元本割れ学資保険」で、Bは支払ったお金より10万円少ない額しか受け取れないのです

 実は、元本割れ学資保険の見極め方法は、とっても簡単。今のように、「支払う保険料の合計額(毎月の保険料×12カ月×年数)」と、「保険会社から受け取る給付金の合計額」、この2つを比べるだけです。加入を考える前には必ず確認してくださいね。

 なお、学資保険に子どもの医療保障が付いていたり、親が死亡した場合に満期金とは別にお金を受け取る育英年金保障などがついていたりすると、元本割れの可能性が一気に高まります。でも、ご相談者の様子を見ていると、加入したご本人が気づいていないことが多いのです。

 また、商品は随時変更されます。同じ保険会社、同じ学資保険の名前だったとしても、上の子のときには増えたのに、下の子のときには元本割れしていることもあります。毎回、加入前に確認してくださいね。

でも、学資保険の「ためる強制力」は重要

 では、学資保険は魅力がないのでしょうか? 

 昔のように大きく増えて戻ってくることが少ないとはいえ、自動的に「貯める強制力」と、子どもの教育費に手を付けてはいけない、という「取り崩しを防御」する力は、あると思います

 ただし!

 それには、「支払った保険料よりも多い満期金が受け取れる商品を選ぶ」という必須条件付きです。賢く選択してくださいね。

日経DUAL編集部作成
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親世代とは違う「教育費の本当の話」!
『教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール(日経DUALの本) 』

■第1章 子育てって、ざっくりどのくらいお金がかかるの?
■第2章 ウチはどう貯める? どこまでお金をかけられる?
■第3章 ママとパパどう働く? 収入にあった幸せな生活スタイル
■第4章 親世代とは全然違う! 100年人生のお金の新ルール

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