これまでの自分は「家事や育児をやってきたつもり」だった
この育休期間を通して、私はこれまで、いかに「家事、育児をやったつもり」になっていたかということを痛感させられました。わが家は共働きで、日々のやり繰りをうまく夫婦で分担してきたつもりでした。ですが、実際はフリーランスで働いている妻がその大半を担い、私自身が妻に支えられています。その妻が不在となり、毎日の家事や育児の全てを担うことになったとき、ただただ無心に日々のルーチンをこなしている自分に気づきました。
そして、正直な気持ちを打ち明けると、たかだか3週間職場を離れていただけなのに、復帰初日に通勤の電車に乗った瞬間、なんだかとても不安な気持ちになりました。放送局のアナウンサーなのに、テレビやラジオもほとんど見聞きしていなかった。新元号のカウントダウン番組も全く意識せず過ごしていた3週間。毎日外出していたはずなのに、町の変化に目を向けることもなかった。そんな生活から職場に戻ることがこんなに緊張するものとは。こんな気持ちの変化に気付けたことも、育児休暇をとったからこそでしょう。
復帰したその夜、会社で仕事をしていた私のスマートフォンに、妻からメッセージが届きました。内容は秘密です。普段あまり見たことがない長文のメッセージでした。一生、保存しておこうと思います(笑)。
文/樋口可奈子 写真/小野さやか