ところが、息子たちが成人した姿を見ることなく、ダイアナ妃は1997年、不慮の事故で世を去ってしまう。ウィリアム王子が15歳、ヘンリー王子が12歳のときだった。愛情深い母親だったダイアナ妃だが、夫だったチャールズ皇太子との関係はうまくいかず、別居生活を経て離婚した経緯がある。

 そんな母親への思いもあるのか、ウィリアム王子はキャサリン妃と共に子育てに関わりながら、彼女の考えを尊重しつつ、二人三脚で育児に取り組んでいるようだ。ジョージ王子が産まれた後の米メディア『CNN』のインタビューでも、キャサリン妃の子育てぶりが「素晴らしい」と絶賛していた。

育休を取得し、保育園の送迎もこなす

 キャサリン妃の実家とも仲がいい。クリスマス休暇は王室でも行事がある特別な休暇で、市民の多くは日本の正月のように家族と過ごす。ウィリアム王子は2016年のクリスマス休暇に一家でキャサリン妃の実家に滞在し、注目された。

 キャサリン妃の母に子どもの世話を頼むこともある。キャサリン妃は6カ月の育休を経て慈善活動に復帰したため、ジョージ王子やシャーロット王女は2歳のときから一般の子女と同じ保育園や小学校に通学している。ウィリアム王子とキャサリン妃が共に保育園の送り迎え等を交代で行っている姿もパパラッチされている。

 王室ならば育児に関する手厚いサポートにも恵まれそうだが、自分たちでできることをする。夫婦共に仕事をして、子育ては2人で取り組む。新しい王室の姿を示してきたウィリアム王子だが、さらにすごいのは、世の中のイクメンたちの背中をも、押し続けていることだ。

 ウィリアム王子はジョージ王子とシャーロット王女が生まれたとき、それぞれ2週間の育児休暇を取った。ジョージ王子のときは陸軍のパイロットとして勤務し、2013年に退役して現在は公務に携わっている。

 英国は共働き夫婦も多く、子育てや家事を分担している家庭は珍しくない。法的に定められている父親の育休(有給)は2週間(それにプラスして両親で取れる育児休暇もある)。だが、育休を取得している父親はまだまだ多数派とはいえないようだ。

 そんな中で二度の育休を取得したウィリアム王子は、英国国内では育児に熱心な父親として捉えられている。ウィリアム王子が育休制度を率先して利用することで、社会に向けて、「父親も育休を取ろう」というメッセージになる。