昨年第一子が誕生したばかりの47歳男性。妻の希望で住宅購入を検討しましたが、一生賃貸派のつもりだったので住宅資金を準備していませんでした。前回の相談では、ファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔さんから「金融資産が1800万円ほどあるので半分は頭金に回しても問題ない」というアドバイスがありましたが、同時に「双方の実家に関する情報が書かれていないのが気になる」という指摘も。セカンドライフを考えるうえで、どんなことが重要になってくるのか、山崎さんに伺いました。

■上の記事はこちら 家を買うために老後資金を崩す? 一生賃貸のリスク

<読者の悩み>

教育・老後資金として準備していたお金を住宅資金に充ててもいいでしょうか?

<相談者のプロフィール>

<夫婦の仕事と年収>
■夫(47歳)/正社員 年収900万円
■妻(40歳)/正社員(育休中) 育休取得前の年収は400万円
■子(8カ月)/来年4月から保育園に入園予定

<現在の貯蓄について>
■預貯金 1500万円(うち定期・定額900万円)

<住宅について>
■賃貸マンション
■家賃18万円
■管理費、共益費合わせてさらに1万5000円を毎月払っている

<金融商品について>
■投資信託 300万円
■生命保険(夫)終身 5000 万円
■養老保険(夫)10年払い済み(2021年満期)300万円
■個人年金 60歳10年確定 年金額100万円
■その他、夫婦ともにかけ捨ての医療保険に加入

<その他>
■不妊治療を経て第一子を妊娠、出産。第二子の予定はなし。
■教育費は学資保険などを利用せず、養老保険の満期保険金や現在の預貯金から支払うつもりだった
■子は認証保育園内定済み(来年4月入園)。0歳児の保育料は月8万円(諸経費込み)。区役所に聞いたところ、もし認可に入れたとしても、1万~2万円ほどしか安くならないことが分かった
■妻復職後の年収は、時短勤務のため300万円前後になる予定
■夫は55歳が役職定年で、年収は1割ほど下がる見込み

夫婦2人になったとき、どんな暮らしをしたいかを考える

 現時点では妻の職場に近く、周囲に大きな公園もあって子育て環境が整っている今のエリアに住み続けることを希望されているようですが、子どもが巣立った後、相談者さんご夫婦はどんな場所、どんな家に住みたいとお考えでしょうか。

 例えば、夫婦どちらかの親が不動産を所有していて、将来はその家を相続することになったとします。相続税はかかりますが、代わりに家賃の支払いはなくなります。夫婦ともに一人っ子同士で双方の親が家を持っていたとしたら、いずれか一方に住んで一方は売る、ということも考えられます。そうすれば老後資金に少しゆとりが生まれるでしょう。

 ただ、夫婦ともに地方出身でこの先も東京を離れる気がないという場合や、きょうだいが親と既に同居している場合などは、親の家に住むという選択肢はなくなります。このように「親の家に住めるかどうか」や「住みたいのか、住みたくないのか」を夫婦で話し合うことはとても重要なことです。

 相続するような家がなくても、子どもが巣立った後は郊外で生活したいという考えが出てくる可能性もあります。その場合は1000万~1500万円など、比較的安い価格で家を購入することも可能でしょう。今、家族3人で住める家を買うということだけでなく、夫婦2人に戻ったときにどんな暮らしをしたいかも、じっくり話し合ってみてください。