<相談者のプロフィール>

<夫婦の仕事と年収>
■夫(47歳)/正社員 年収900万円
■妻(40歳)/正社員(育休中) 育休取得前の年収は400万円
■子(8カ月)/来年4月から保育園に入園予定

<現在の貯蓄について>
■預貯金 1500万円(うち定期・定額900万円)

<住宅について>
■賃貸マンション
■家賃18万円
■管理費、共益費合わせてさらに1万5000円を毎月払っている

<金融商品について>
■投資信託 300万円
■生命保険(夫)終身 5000 万円
■養老保険(夫)10年払い済み(2021年満期)300万円
■個人年金 60歳10年確定 年金額100万円
■その他、夫婦ともにかけ捨ての医療保険に加入

<その他>
■不妊治療を経て第一子を妊娠、出産。第二子の予定はなし。
■教育費は学資保険などを利用せず、養老保険の満期保険金や現在の預貯金から支払うつもりだった
■子は認証保育園内定済み(来年4月入園)。0歳児の保育料は月8万円(諸経費込み)。区役所に聞いたところ、もし認可に入れたとしても、1万~2万円ほどしか安くならないことが分かった
■妻復職後の年収は、時短勤務のため300万円前後になる予定
■夫は55歳が役職定年で、年収は1割ほど下がる見込み

<山崎俊輔さんの回答>

「生涯賃貸」のデメリットは“長生きリスク”

A. 相談者さんはもともと、この先もずっと賃貸で暮らすつもりだったとのこと。賃貸派VS持ち家派の論争は永遠のテーマです。でも、一つ言えるのは、賃貸暮らしを一生続けるデメリットは「この先自分たちが何年生きるか分からない」ということです。

 例えば、65歳以降に月々の家賃が12万円のマンションに住み続けたとします。年間の支払い額は約150万円。現役時代に頑張って15年分(約2250万円)ためたとしても、それ以上長生きした場合はお金が足りなくなる可能性が出てきます。「人生100年時代」と言われていますが、既に現在の65歳女性の平均余命は24年で、ほぼ半数の女性が90歳を超えて長生きする見込みです。相談者さんが65歳時点から15年以上長生きする可能性は、相当高いと思います。家賃用の資金はもっとたくさん準備する必要があるのです。

 当たり前ですが、人がいつ死ぬかは誰にも予見できません。100歳まで生きる人もいれば、平均寿命よりずっと早く亡くなる人もいます。自分の寿命は予測できないため、賃貸暮らしの場合は老後の居住費予算を見積もるのが困難なのです。

 相談者さんの場合、一生賃貸で暮らすには、現時点で老後資金は不足しているといえるでしょう。女性は長生きする人が多いので、先ほどの年間の家賃150万円で65歳から30年暮らすとしたら、家賃だけで4500万円必要です。これは本来の老後資金とは別に用意するべきなので、老後の資金として計7000万円くらい必要になる可能性があります。

 賃貸に住み続けるか、持ち家を購入するかのどちらがいいかはそれぞれにメリット、デメリットがあり、一概には言えません。ただ私個人の意見を言わせてもらえれば、一生賃貸派と考えている人も、どこかのタイミングで老後のための「ついの住み家」を得ることをおすすめします

 また、相談者さんは47歳なので、年齢的にも35年ローンを組むのは難しいでしょう。「今から65歳までの間に払える範囲の物件を買う」もしくは、「しばらく賃貸暮らしを続けて、65歳のときに夫婦2人が住める家を一括払いで買う」の2つのパターンを検討してもいいと思います。前述の通り資産もあるうえ、現時点で20万円近い住宅費を支払えていることを考えれば、家を買うなら今支払っている住宅費に近い水準でローンを組むことを目指したいところですね。

 ただ、気になるのは相談の中で双方の実家の状況に触れていないこと。実は、セカンドライフを考えるうえで、この「親の家をどうするか」という問題が大きく影響してくるのです。

 次回は山崎さんに、「セカンドライフと住宅」について具体的に伺います。

(構成/樋口可奈子 イラスト/エイイチ)