不登校の小学生の人数は、年々人数が増え、文部科学省の発表では1000人当たり約5人です。その原因のひとつが「いじめ」です。日経DUAL編集部にもつらい思いを込めた相談が届きました。親子関係の見直しだけでは解決できないこの問題をどう考えればよいのでしょうか。ひきこもりや不登校の子どもを持つ親の悩みに向き合ってきた蟇田 薫さん(認定NPO法人育て上げネット若年支援事業部担当部長)に、読者の悩みをぶつけてみました。

 こんにちは、蟇田 薫です。まずは、子どものいじめに悩むワーママからの相談を紹介します。

同級生のいじめに「やめて」と言えず我慢している息子。親は軽視できない

 小4の男の子がいます。半年ほど前に、民間学童で上級生の男の子からいじめを受け、学童の先生と話し合いながら何とか良い方向に進み、今は落ち着きました。

 ところが今度は学校で、同じ班の子たち(男子・女子)からいじめられて学校に行きたくないと言い出しました。いじめの内容が「おまえが死ぬとき」「おまえが殺されるとき」といったもので、息子に「そういうことを言われると嫌だ」「やめて」って言っていいんだよ、と伝えましたが言い返せないようです

 いじめている側は恐らくふざけ半分で、いじめているとは思っていないようです。息子は「先生には言わないでほしい、もうすぐ席替えだからそれまで我慢する」と言っていますが、軽視できないと思い、こっそり担任の先生に報告しました。

 小学校の今は親が介入でき、先生と協力できていますが、今後中学・高校に進学したら親が介入するのは難しくなるかと思います。今後同じようなことが起きたときに、子ども一人で乗り越えられるようにするためにはどうしたらよいでしょうか。(小4男子の母)

自尊心を高めることが最優先。我慢していることも褒めてから次のステップへ

 いじめを受けていることや学校に行きたくないということは、親には言いにくいことです。親は、いじめと打ち明けられると、慌てたり、「あなたがしっかりしてないから」と怒ったり、子どもの話をよく聞かず、先回りしてしまうことが少なくありません。しかし、子どもの話は最後まで聞いていただきたいと思います。

 このお子さんは、以前学童でいじめを受けたときに、親御さんが学童の先生と話し合って解決してくれたという経験があり、必要なときは親に言ったほうが良い方に向かうということを身をもって知っていたので、告白してくれたのでしょう。お母さんは、冷静に判断し、「自分の子どもは絶対守る」という姿勢が子どもに伝わり、いい親子関係を築いていると思います。

 さて、その親子関係を基に次にお母さんがするべきことは何でしょうか。それは、子どもの自尊心を高めてあげることです。次の席替えまで我慢すると言っているわが子に対して、まずは、「あなたはここまで我慢して本当にすごいね」と認めて、褒めてあげてください。そして、子どもと次のようなことを取り決めてください。