生きていれば、必ずあるのが悩みのアレコレ。子育て、仕事、人間関係…など様々な読者の悩みに、著名人や専門家が答えます。

子どもの乗り物酔いがひどく、遠出ができません。もっと色々な体験をさせてあげたいのですが…

Q.   子どもが小さなうちからあちこち連れていって、様々な体験ができる機会を提供したほうがよいと思ってはいるのですが、子どもの乗り物酔いがひどく、徒歩圏外への外出が困難です。徒歩圏内の公園や文化施設には行き尽くしました。習い事にも限りがあります。

 夏休みなどにお友達が旅行に行ったり、帰省したりした話を聞くとつらいです。酔い止めの薬を飲ませて出かければいいと思われるかもしれませんが、仮に薬を飲ませるとしても、親は移動中緊張しっぱなしとなるので、日々の生活に疲れている現状では気力が湧きません。本人が遠出に興味を持たないので、まだ助かってはいるのですが…。

 世の中に「休日に〇〇まで出かけて〇〇をしよう!」といった情報は氾濫していますが、「遠出せずに〇〇をしよう」という情報は非常に少ないのが現状です。

 もともと、鉄道の旅や登山が好きだったので、子どもとキャンプやハイキングに行きたいです。小学校に入ってからの遠足も非常に心配です。病気などと思って諦めるしかないでしょうか。親の気持ちの保ち方や、遠出しなくてもできる工夫がありましたら、アドバイスをお願いします。

(46歳女性、子どもは年長)

回答者 山本直美さん(チャイルド・ファミリーコンサルタント)

 ご両親はこれまで、大変な思いをされていらっしゃったのだろうな、と思います。

 乗り物酔いをするお子さんは結構いらっしゃるのですが、年齢にもよりますし、個人差がすごくありますね。ただ、これまでたくさんのお子さんを見てきたなかで、何かきっかけがあったり、状況が分かるようになってきたり、自律神経が整ってきたりして、年齢とともに落ち着くお子さんもいます。

 パパやママが、旅行やキャンプなどに出かけたい気持ちはすごくよく分かりますが、お子さんがあまりにも乗り物酔いをしてしまう場合には、いったん遠出は諦め、年齢とともにゆっくりときっかけを探していく、というくらいの意識でいることをおすすめしたいですね。

 実は、子どもにとって、遠出はすごく負担がかかります。いろんなことを体験させたい、と思う気持ちはすてきですが、子どもにとっては、体力的に無理をせず、体調を整えながら日常が繰り返されることが、情緒の安定をもたらします

 日々の生活習慣が崩れないことが大切です。例えばパジャマはいつも右手から着ているのに、ある日突然上からかぶせられたりすると、子どもは混乱してしまいますよね。大人にとってはささいなことでも、日常の習慣の繰り返しが安心につながっているのです。ですから、遠出をして帰宅が遅くなり洋服を着たまま寝かせちゃった、などというのは、子どもの生活を考えると実は本末転倒なことなのです。 (「日常生活の中で楽しさを発見する方法」を次ページで紹介)