不妊治療を経て高齢出産した48歳専業主婦の女性。子どもはまだ5歳ですが、治療にお金を使ったために貯蓄が十分ではなく、教育費の心配がありました。前回の相談で「夫婦共働きをすれば私立中学受験も可能」ということが分かりましたが、老後資金の不安もまだ残っています。毎月10万円という赤字についても、改善の余地がありそう。今回はファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔さんに高齢出産夫婦が気をつけたいお金のことについて伺いました。

■上の記事はこちら 夫だけで年収一千万円超 それでも共働きがいい理由

<読者の悩み>

夫婦ともにアラフィフながら、子どもはまだ5歳。教育資金と老後資金が心配です

<相談者のプロフィール>

<夫婦の仕事と年収>
■妻(48歳)/専業主婦
■夫(49歳)/正社員 年収1200万円(前倒しで支給されている退職金130万円を含む)
■子(5歳)/幼稚園年長

<現在の貯蓄について>
■定期預金 630万円
■一般財形 240万円
■預貯金 130万円(教育費として)
■貯蓄のペースは、月5.5万円(うち教育費として2万円)、ボーナス時に40万円

<住宅について>
■持ち家(分譲マンション)
■2014年に変動金利33年ローンで3000万円借り受けて購入。当初金利は0.64%。
■ローン残高は現在2900万円

<金融商品について>
■株 130万円
■債券 600万円
■生命保険(夫)定期的終身 5000 万円(定期 4500万円)
■個人年金 60歳10年確定 年金額50万円
■個人年金 60歳払込満了・10年確定 年金額100万円

<その他>
■退職金の上乗せ分(年130万円)は定年退職まで毎年支給される予定。ただし、職位が下がれば20万円ほど下がる可能性あり
■住宅ローン減税があと6年使えるので、その後に1300万円の繰り上げ返済を検討している
■単身赴任中の夫の生活費(食費、お小遣い)が月に12万円ほどかかっており、毎月10万円の赤字(ボーナスから補填)

「退職金の前払い」は税制面で損している

 老後資金について考えるうえで、気になるのが「退職金の前払い」という制度。実はこれ、税制面では大変損をしているといえます。

 退職金は、退職後の大切な生活資金となることから税負担が大きく軽減されています。仮に相談者さんの夫が大学卒業後から定年退職までの37年間勤め上げたとしたら、退職金の非課税枠は約2000万円にもなるほどです。しかもその非課税枠をオーバーした場合も、超過分の半分しか課税されないので、税金の負担はゼロか、ほんのわずかで済みます。「老後資金が準備できなかったが、退職金があったので助かった」という話をよく聞きますが、これは税負担が少ないことも大きいのです。