所得制限がなくなり、児童手当は満額もらえるようになる

前野 では、準備していただいた現状記入シート(※)をもとに、転職後の家計を詳しく見ていきましょう。

M子 主人もまだ勤め始める前で時間外勤務がどのくらいあるか分からないですし、私も昨年3月に第2子を出産して29年度は働いていないので、時短を想定してこれくらいかな、という仮定の金額なのですが。

前野 M子さんは年収550万円だと、手取り年収は418万円と書いていただいていますが、もうちょっと多そうです。社会保険料と税金を引いた手取りは、年収700万円くらいまではだいたい年収の8割なので、M子さんの手取りは440万円くらいになります。ご主人も年収500万円の予想であれば、手取りは約400万円。あと、児童手当も月2万5000円もらえますよね。

M子 えっ、児童手当ってそんなにもらえてないんじゃないかな。満額はもらえてなかったと思います。

前野 ご主人はこれまで年収1000万円以上でしたか? その場合は、所得制限で1人あたり5000円だったと思います。

M子 そうです。年収1000万円以上でしたから、児童手当は5000円でした。

前野 これからは満額もらえますよ。児童手当は夫婦どちらかの、年収の高いほうで判定するので、2人で1000万円超えていても大丈夫です。今後は児童手当が年間30万円になります。

M子 そんなにもらえるんですね。いいんだか悪いんだか、ですけど。

前野 ご主人も、M子さんも、いったん収入が下がってこれから増やしていく過程ですからね。とりあえず現状の年間手取り収入は児童手当を足して約870万円。これを使って、生活および貯蓄をしていくことになります。

※前野彩著『本気で家計を変えたいあなたへ<第3版>』掲載の現状記入シートを使用

年収半減でも、今までの半分弱の年97万円は貯蓄できる見込み

M子 これから貯蓄していけるのかどうか、見通しがつきません。

前野 では、年間の支出も確認してみましょう。住宅ローンが月13万8000円、管理費が3万7000円で、固定資産税10万円を足すと、住居費が年間220万円。学校教育費が月5000円、塾代が2万7000円、保育料が5万円、これに塾の季節講習代18万円を足すと、教育費が年間で116万4000円。その他として、旅行・帰省費で30万円、冠婚葬祭で5万円。他に大きな出費をすることはないですか?

M子 ついこの間、育休から復帰するにあたって、20万円の洗濯機を買いました。

前野 毎年、何かしらそのような買い物がありますか?

M子 2年に1回くらいは大きい買い物をしているかもしれないですね。

前野 では、家具・家電関連が1年あたりの支出に換算して年間約10万円として、その他支出の合計額は年45万円としましょう。他は現状シートの記入通り、生活費が年362万4000円、保険料が年28万8000円で合計すると、年間の支出は約773万円です。手取り収入の予想が約870万円で、明細の分かる支出が約773万円ですから、差額の約97万円がこれからの年間貯蓄額になります。

M子 良かった。今までの半分くらいは貯蓄できるんですね。

<年間の収入>
児童手当を含めて手取り870万円

<年間の支出>
■生活費 362.4万円 ■住居費 220万円 ■教育費 116.4万円 ■保険料 28.8万円 ■その他 45万円 ⇒合計772.6万円