生きていれば、必ずあるのが悩みのアレコレ。子育て、仕事、人間関係…など様々な読者の悩みに、著名人や専門家が答えます。今回は、麻生マリ子さんが読者の悩みにお答えします。

<読者の悩み>

母を信頼できない私。孫を口実に近寄ってきますが頼ってよいものか……。

Q. 「あんな家の子とは遊んじゃダメ」「あれぐらいの大学に行かないと人間とは言えない」など、幼いころから母親の価値観を押し付けられて育ってきました。

 今振り返ると、どう考えてもおかしい、親の都合のよいルールを強要されてきたのですが、子どもにとっては親の言うことは絶対的。相当影響を受けたと思います。大学に入ってからは、母の価値観がどれほど偏向していたかに気づき、母を信頼することができなくなり、距離を置きました

 就職、結婚するときも事前に相談はせずに、すべて決まってから報告しました。1人目を出産したときも、里帰りしないで、助けに来てもらうこともなく乗り切りました。可能な限り、関わらないで生きていこうと思っていました。ただ、私に娘が生まれてから「孫には会いたい」と思うようで、急に態度を変えて、私のご機嫌を取るようになりました。やたらと下手に出て、何かと電話してきたり、家に遊びに来ようとチャンスをうかがったりしています。

 今、私は2人目を妊娠中で、生まれたらさらに大変になるので、正直なところ産後しばらく誰かに頼りたい気持ちも少しはあります。でも、もしまた関わるようになったら、あの偏った価値観を押し付けてきて、私の子どもにも影響が出るのではないかと心配です。一方で、母親の人生も残り少ないので、そこまで無視し続けてよいものか、とも思います。母も反省したのかなと思う瞬間もたまにあるのですが、どうしたらいいでしょうか。

(30代女性、子どもは4歳)

回答者: 麻生マリ子さん(家族心理ジャーナリスト)

 母親の価値観がおかしいと感じて距離を置き、就職も結婚も一人で決断されたとのこと。母親の影響から脱した別の一人格を自分の努力で築くことができたのですね。これはとても立派なことです。親の呪縛から抜けられずに苦しんでいる人もたくさんいる中、自力で成し遂げられたのは、とてつもない努力の結果だと思います。でも、今、その気持ちが揺れている。母親の老い先も見えてきて、このままの関係で本当に後悔しないかと感じているのではないでしょうか。そう思った今が、タイミングなのだと思います。

 お母様との関係を変化させることに乗り出してみてはいかがでしょうか。ただ、コンタクトをとるうえで、いくつかの準備と心構えをしておく必要があります。(次ページへ続く)