結婚8年目で5歳の長女と2歳の長男がいる相談者ご夫婦は、来年長女が小学生になるのに合わせてマンション購入を検討中です。周囲の友人・知人が5000万円程度の家を買ったという話をよく耳にして、自分たちも漠然と同様の予算で物件探しをしているものの、無理な住宅ローンを組むことにならないだろうかとお悩みです。

 「家を買うと、ほとんどの人がその後の支出が増えますが、『それでもしっかり貯金をしていけるかどうか』が見極めるポイントになります」とファイナンシャル・プランナーの中嶋よしふみさん。解決編では収支のシミュレーションをしていくとともに、保険加入のポイントについてもご紹介します。

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世帯年収1000万円の最適な住宅予算はいくら?

<相談者の悩み>

上の子が来春小学生。5000万円の住宅購入は身の丈に合っていますか?

相談者のプロフィール

<夫婦の仕事と年収>
■夫(41歳)/上場企業(メーカー)勤務 年収560万円(手取り490万円)
■妻(39歳)/地方公務員 年収440万円(手取り380万円)

<現在の貯蓄や金融商品>
■預貯金 約2000万円(夫の転籍時に支払われた退職金を含む)
■企業年金の積み立て分 450万円
■保険の積み立て分 188万円
■確定拠出年金(年間24万円積み立て)
■拠出型企業年金(年間約20万円積み立て)

<毎月の貯蓄>
3万~6万円(ボーナスからの貯蓄を含め、年間で160万円ほど)

<住宅>
賃貸マンションで家賃は月13万2000円(以前は夫の会社で5万円の住宅補助があったが、転籍によりなくなった)。今後5000万円くらいのマンションを購入したいと考えている。

ローン期間を短く設定するより、後から繰り上げ返済で調整を

 今度見学に行く中古物件が4980万円なのですが、私たちが購入しても問題ない額でしょうか。実家からは、1000万円の援助を受けられる予定もあるのですが。

FP中嶋よしふみさん(以下、中嶋) 1000万円の援助を受けられるのは相当大きいですね。では、5000万円の物件として計算してみましょう。

 中古物件で諸費用が8%かかるとして、約400万円。5400万円のうち、援助の1000万円を頭金と諸費用として現金で支払い、4400万円を35年、金利1.35%(フラット35の全期間固定。取材時の2018年5月4日時点)で計算すると、住宅ローン返済は月13万円1512円です。これに、管理費や修繕積立金、固定資産税を考慮すると、月当たりプラス3万円くらい。つまり、月16万1500円くらいです。現在の家賃からの上乗せは2万9500円ほどですね。年間で35万4000円の負担増です。

 結構増えますね。もう40歳なのですが、35年のローンを組んでも大丈夫でしょうか。

中嶋 一度35年で組んで、繰り上げ返済で調整していく形がいいと思います。最初から20年とか30年とか短いローンにすると、その後コントロールできなくなるからです。35年で組むと、お二人が60歳くらいで2000万円のローンが残ります。「繰り上げ返済を全くしないと、2000万円残る」ということは意識しておきましょう。ただ、焦って繰り上げ返済をして60歳の時点で0にする必要はありません。手元に置いておくお金も必要ですから、慎重にしていきましょう。

 繰り上げ返済分として、これからためておかないといけないんですよね?

中嶋 今の時点で2000万円としっかり貯金があるので、それほど心配は要りません。10年間は住宅ローン減税もありますので、その間は繰り上げ返済は考えなくていいと思います。住宅ローン減税で毎年40万円以上収支がプラスになりますので、しばらく家計の収支は毎年プラス212万円程度で維持できそうです。

 そして、今後お子さんが大きくなって、学童や習い事、塾などが増えてきたときがポイント。そういう時期でも年間150万円以上プラスになれば、10年間で1500万~2000万円もたまる計算です。調子よく貯金が増えていけば、10年後のローン残高である3300万円以上の貯金額を、住宅ローン減税が終わった時点で確保できます。

 そんなにたまるんですね……。購入に当たってかなり不安を感じていたんですが、それなら大丈夫そうですね。

毎年の貯金額160万+確定拠出年金24万+拠出型企業年金20万+住宅ローン減税43万-住宅コスト増35万=212万円

中嶋 あとは、お子さんの大学進学費用を考える必要があります。奨学金は収入の制限がありまして、4人世帯で自宅から大学に通う場合は、現在のお二人の収入で条件ぎりぎり。今後収入は上がるでしょうから、奨学金は難しいかもしれません。金利が少し高い教育ローンもありますが、お二人の場合は手元に貯金があるので、それを使えばいいと思います。