4人家族のF美さん一家は、6年前に保険ショップのFPに勧められるがまま、数種類の保険にまとめて加入しました。月払い4万8000円、年払い113万1000円、合計で年間170万円ほどの保険料を支払っており、ここ数年、貯蓄がほとんど増えていないことが悩みです。そんなF美さんに、『教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール(日経DUALの本) 』の著者でファイナンシャル・プランナーの前野彩さんが、保険は本当に必要なのかアドバイスします。

■上の記事はこちら→「支払い額が年170万円 保険の必要性を見直したい

<相談者F美さんの悩み>

勧められるがままに入った保険。年間で170万円も保険料を支払っています。

F美さんのプロフィール

<夫婦の仕事と年収>
■夫(46歳)/正社員・商社 年収737万円(税込み)、月給32万円(手取り)、ボーナス187万円(手取り)
■妻(41歳)/正社員・金融 年収607万円(税込み)、月給30万円(手取り)、ボーナス90万円(手取り)

<子ども>
長女(6歳)と次女(3歳)

<現在の貯蓄や金融商品>
■妻/普通・定期預金240万円、投資信託70万円

<毎年の貯蓄>
家計から月2万円、ボーナスから137万円(取り崩しが多く、実際はたまっていない“つもり貯蓄”)

<住宅ローン>
2年前に都内に近い場所に6300万円の一戸建てを購入。頭金なしで夫3900万円、妻2400万円のペアローンで借り入れ。32年ローン、変動金利(0.497%)。毎月夫10万6000円、妻6万4000円を返済中

<加入している保険>
生命保険や医療保険など夫は7種類、妻は6種類の保険に加入。月に夫2万3000円、妻2万5000円の保険料、さらに年払いで113万1000円の保険料を支払っている

残された家族の一生分の支出をシミュレーション

FP前野彩さん(以下、前野) さて、今回は「ご主人に今もしものことがあったら」というパターンで、残されたF美さんと2人のお子さんの「一生分の収入」と「支出」を計算して比べます。「支出」のほうが多ければ、保険でフォローする必要があるということになります。

相談者F美さん(以下、F美) 一生分、出さないといけないんですね!

前野 そうなんです。今まで考えたことがないと思うので、じっくり想像しながら進めていきましょう。F美さんが90歳までご存命だと仮定して、お子さん2人については就職するまでにかかるお金を計算します。ではまず、一生分の支出を出してみましょう。ご主人が亡くなったときの住居については、考えたことがありますか? 実家に帰るという選択肢もありますね。

F美 実家には帰らず、そのまま今の家に住み続けたいです。

前野 では、「持ち家に住み続ける」というパターンでやってみましょう。団体信用生命保険に入っているので、ご主人のローンはなくなりますが、ご自身の毎月のローン返済額は残ります。

F美 毎月6万4000円、ボーナス払いはなしです。

前野 固定資産税は年間19万円ほどなので、ローンと合わせると年間約96万円のお金が住居費になります。ローンは残り30年ですが、金利変動はひとまず置いておき、一生分の住居費は3235万円です。次に生活費ですが、自分とお子さん2人になったら、どう変わりそうですか?

F美 お小遣いが私の分だけになって、携帯代は半分。水道光熱費も月2万5000円くらいになるかなあ。食費も1万5000円くらいは減りそう。車は手放すだろうだから、ガソリン代、ETCが無くなりますね。

前野 そうすると、現状で月30万6000円かかっている日々の生活費が、22万円に減ります。これが今3歳の下のお子さんが独立するまで20年間続くので、3人で生活しているときの生活費はトータルで5280万円かかります。

 お子さんが独立して一人暮らしになったら、生活費は減りそうですか?

F美 食費は4万円くらいに減りそう。子どもの支出は無くなるけれど、日用品やおしゃれ代、通信費、医療費なんかは変化なさそうです。水道光熱費は2万円くらいまで減らしたいですね。

前野 老後の生活費は月15万7000円ですね。これが90歳で亡くなるまでの29年間、合計5464万円かかります。今から90歳までの生活費を合計すると、トータルで1億744万円になります。

F美 …生きていくってすごい。こんなにお金がかかるんですね。

前野 総額で見ると、金額の大きさに驚きますよね。では次に教育費を見ていきましょう。