支出をチェックすると無駄遣いはしていないのに……

前野 ここまで、収入と貯蓄、ローンと今後の教育プランについてお伺いしました。次は支出について見ていきましょう。まずは日々の生活費。毎月の食費は6万1000円、日用品1万6000円、お小遣いは7万円ですね。これは二人分ですか?

F美 そうです。夫が4万円、私が3万円で平日のランチ代はそこから出しています。余った分の使い道は自由です。

前野 水道光熱費は3万5000円、交通費は電車代と車のガソリン代で1万9000円、健康医療費が3万円ですね。では、1年単位の支出も見てみましょう。車をお持ちなので、税金と車検代がかかりますね。

F美 はい。税金は4万5000円、車検代は1回15万円くらいでしょうか。

前野 新車登録の場合、車検は3年後、その後は2年ごとになります。1年あたりの金額に振り分けて7万円くらい見ておきましょう。ほか、旅行・帰省にかけている費用は年25万円。冠婚葬祭・交際費は年30万5000円。これはどんな内訳ですか?

F美 交際費は、保育園の謝恩会の費用だったり、お正月やクリスマスに実家の両親や親戚を呼んだりしたときにかかった費用ですね。あと、去年は結婚式に呼ばれることが多かったので、ご祝儀はもちろん、着物の着付けにお金がかかりました。

前野 それでは、年に1回くらいは今後も結婚式があると考えて、だいたいこの項目は25万円くらいで見ておきましょうか。そうすると、車の税金と車検代で11万5000円、旅行・帰省費25万円と冠婚葬祭・交際費25万円、家まわりのお金5万円とスーツなどの洋服代40万円、補填のお金10万円、これで合計約117万円ですね。

 年間の収入と支出を整理してみましょう。

<年間の収入>
児童手当を含めて手取り1045万円

<年間の支出>
■生活費 370万円 ■住居費 223万円 ■カーローン 25万円 ■教育費 149万円 ■保険料 178万円 ■その他 117万円
⇒合計1062万円

年間の収入と支出を比べると家計は赤字

前野 年間の収入と支出を比べると17万円の赤字となっています。ここ数年、貯蓄があまり増えていない、というのも分かりますよね。

F美 完全に貯蓄から取り崩していますね……。

前野 実は、ためている“つもり”で増えていないという現状が見えてきましたね。これをふまえて、今からが本題です。「本当に保険が必要かどうか」を数字でシビアに判断していきます。一般的に「子どもが生まれたら数千万円の生命保険に入る」という方は多いと思うんですけど、必要な保障額ってそのご家庭によって全然違うんですね。F美さんは、貯蓄がどれくらいあれば、保険に入らなくても安心だと思えますか?

F美 全然分からないです。

前野 そうですよね。「そのご家庭に保険が必要かどうか」は、残された家族の「一生分の収入」と「一生分の支出」を比べてみないと分からないんです。

F美 えー! そうなんですか。「子どもが小さければ一般的に何千万円必要」みたいな目安で入っていました。

前野 夫婦共働きですので、パパとママ、どちらが亡くなった場合も保険が必要かどうか確かめる必要があります。まずはパパに「今、もしものことがあったら」というほうから考えていきましょう。

――「解決編」に続く!

(取材・文/澤田聡子 イラスト/エイイチ イメージ写真/鈴木愛子)

■2ページ目の表で夫の住宅ローンの返済額を毎月12万7000円としていましたが、10万6000円の誤りでした。お詫びして訂正します。(2018年6月20日)

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