出産後の収入減と教育費で、年間の収支は大幅に下がる

中嶋 お二人は確定拠出年金もされているんですよね。

妻 私は月5000円、夫は月1万5000円です。天引きなのでマネーフォワードの数字には含んでいないです。

中嶋 住宅購入後の収支はバッファーという考え方で計算します。毎年の貯金額を基準に、家計に大きなインパクトを与える要素を計算することで今後の貯金額の変化・推移を把握する方法です。それで計算すると、住宅購入直後の収支は年間でプラス156万円です。

毎年の貯金額184万+確定拠出年金24万+住宅ローン減税44万-住宅コスト増96万=156万円

中嶋 これくらいのプラスがずっと維持できれば、将来的な昇給も含めて考えると恐らく問題ないとは思いますが、出産後には状況が大きく変わります。教育費を年間50万円、産休・育休・時短勤務による収入減少を100万円で計算すると、出産後は収入減と教育費のダメージで、年間の収支がプラス24万円まで大幅に下がります。

毎年の貯金額184万+確定拠出年金24万+住宅ローン減税44万+児童手当18万-住宅コスト増96万-産休による収入減100万-教育費50万=24万円

中嶋 仕事に復帰して時短勤務になっても、収入はそれほど変わらないという方も多いので、収入が減ったままの時期がかなり長期にわたって続きます。産休からフルタイムへの復帰までなので、短くても4、5年程度でしょうか。

妻 うちの事務所では、時短勤務で年間100万円くらい手取りが減ると思います。

中嶋 時短勤務が仮に3年続いたとして、その後フルタイムに戻ると収入は戻ります。ただ保育料は小さいうちは結構かかりますね。認可保育園の保育料は支払った住民税に比例するので、復帰1年目はそれほどかかりませんが、2年目からは上がります。お住まいの地域だと概算ですが、月5万7000円くらいでしょうか。年間で68万円ほどです。お子様の生活費、教育費を月2万と考えれば、68+24で92万円です。

夫 高い……。

妻 この時期は、しばらくマイナスだね。

中嶋 ハイ、時短勤務で復帰したときには今の家計を前提にするとマイナス20万円になってしまいます。

毎年の貯金額184万+確定拠出年金24万+住宅ローン減税42万+児童手当18万-住宅コスト増96万-産休による収入減100万-教育費92万=-20万円

中嶋 これはお子様1人の場合です。2人目が生まれるとまたちょっと変わります。3歳になると保育料も下がるので、3万円くらいでしょうか。2人目の保育料は半額程度になります。保育料の総額で見れば第1子が3歳未満のときとあまり変わらず、といった感じですね。プラスの面として児童手当も二人分もらえますので。このあたりはタイミングによって金額が変わるところです。

 ただ、将来的に子ども2人を私立中に通わせるのは結構大変です。公立小から私立中に進学すると、一人当たり100万円くらい教育費が増えます。ですからフルタイム勤務の時点で貯金額が年間200万円以下だと、お子様2人を私立中に通わせた時点で、マイナスになりかねないです。まだ先の話ですけど、受験の準備も考えれば小4とか小5くらいから塾の費用も考慮したほうがいいと思います。

妻 実は……私立中は、夫はあまり考えていないようでして。

夫 僕は私立中にこだわりがないんです。

中嶋 そのあたりは収入を考慮して、話し合っていただけたらと思います。今決める必要はありませんが、選択肢として私立中を残せるように家計を改善しておくことは意味があると思います。