<麻生マリ子さんの回答>

ターニングポイントは、子どもの成長もしくは母の病気や介護

A. 今の状況を抜け出せるとしたら、ターニングポイントは2つです。

 1つ目は、相談者さんの娘さんの成長にともなう変化。今はまだ2歳で何も分からなくても、成長したらこの状況について何か言い始めるかもしれませんよね。帰省の際に「パパと3人で行こう」と言ったり、子どもは敏感に感じ取りますから「ばあばとパパは仲が悪いの?」と口に出す可能性もあります。そうなったときに、お母様が孫の無垢な目を通して、自分のしてきたことを見つめ直す機会があるかもしれません。

 2つ目は、お母様がご病気や要介護状態になった場合。直接、質問者の夫が介護や看病をしなくても、経済的な援助など何かしらのサポートを受けたお母様は、彼への見方が変わることもあるでしょう。ちょっとゲンキンだと感じるかもしれませんが、気弱なときに献身的に支えてくれた人へ感謝の気持ちが生まれるのは自然なことだと思います。

 また、誕生日のお祝いがないとのことですが、贈答の感覚は人それぞれなので、単純にお母様がお婿さんにまでプレゼントを贈る価値観がないのかもしれません。もし見返りを求めてしまうなら、こちらからもしなくていいと思います。

 相談者さんの中に「誕生日祝いのお返しはするべき」「電話を代わるべき」という思い込みがあって、それはそれで正しいことだとは思いますが、お母様に期待する形になっていて、そこで求めたものが返ってこないとつらいばかりですよね。そのような思い込みを、ご自身も手放してみてはいかがでしょうか

「家族だから仲良くしなきゃ」と自分を縛らないで

 今は無理に二人を仲良くさせよう、などとしなくていいと思います。「家族だから仲良くしなきゃいけない」という思い込みに縛られるのは苦しいはず。あるべき家族像にとらわれず、「仲が良ければラッキー」くらいの感覚でいるのがいいのではないでしょうか

 たとえ血のつながった家族同士だって合わないときは合わないし、言ってしまえば、お母様にとってお婿さんは血のつながりのない他人です。たまたまお婿さんになっただけのことで、仲良くなれるのが当たり前ではありません。姑と婿なんだから、と無理やり努力をしなくていいと思いますし、彼のほうもかえってしんどいのではないでしょうか?

 むしろ大切にしてほしいのは夫に対するケアです。「お母さんがあんな態度でごめんね」と申し訳なく思っていること、そして彼の対応に感謝していることを素直に伝えてください。これまでもお母様のことを悪く言わないような夫ですから、相談者さんの気持ちはよく分かってくれると思います。

 一番大事なのは、合わない相手を無理にくっつけることではなく、今の家庭がうまくいくこと。それがかなっているのなら、とりあえずは十分ではないでしょうか。

 
家族なのに…という思い込みを手放してみるといい
家族なのに…という思い込みを手放してみるといい

(取材・構成/宇野安紀子 イラスト/まつおりかこ 撮影/鈴木愛子、竹井俊晴)