中学受験へ塾通いするなら私立小の学費も大差ない？

【受験の悩み】大手塾の学費はどれくらいかかる？／早いうちにお金をかけすぎて、いざ子どもの希望が出てきたときに、かなえてあげられないのは悲しい

2018.04.12

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＜山本節子さんの回答＞

3年間大手塾に通っても、学費との差は埋まらない？

Ａ.　まずはこちらの表を見てください。平成28年度の文部科学省「子供の学習費調査」によると、幼稚園3歳から高校卒業までにかかる学習費全国平均は、すべて私立に通った場合（ケース6）と小学校は公立で中学校から私立に通った場合（ケース5）で、その差は約723万円になります。

出典：文科省「平成28年度子供の学習費調査」

　ここでいう「学習費」とは、親が子どもに学校教育を受けさせるために支出した「学校教育費」、幼稚園・小学校・中学校の給食費として学校に納付した「学校給食費」、塾や習い事、スポーツ・文化活動など、学校以外の活動のために支出した「学校外活動費」が含まれます。

　公立小学校の学校外活動費は、中学受験をする、しないにかかわらずの平均値のため、年間21万7826円になっています。仮に中学受験をするとなると、SAPIXなどの大手塾にするか、近所の塾にするかで、かかる金額も変わりますが、3年間で250万円程度は見積もっておいたほうがいいと言われています。

　例えば、大手進学塾のSAPIXの場合、月にかかる金額は、消費税込みで4年生は3万9960円、5年生は5万760円、6年生は5万8320円(2018年4月現在)。これに入塾金、春期講習、夏期講習等の特別講習の費用、地図帳・資料集等の書籍代、3年生の後期以降に実施される公開模試の費用は別にかかります。

　とはいえ、私立小学校に通う場合と公立小学校に通う場合では6年間で約723万円の差があります。3年間の塾代に約250万円かかるとしても、その差は埋まりません。小学校から私立小に行くほうが、中学受験をするよりも、明らかにお金がかかります。

小学受験vs中学受験ではなく、留学や資格試験も視野に費用を見積もる

　ここで大事なことは、単純に小学受験か、中学受験かを比較するのではなく、その子に合わせた受験スケジュールをぼんやりとでもいいので考えておくことです。

　一般的に小学受験をするとそのまま私立中学、高校に行き、大学付属校でなければ大学受験をするので、トータルで2回受験をすることになります。子どもにとっては、小学受験の記憶はほとんどないので、受験は大学受験の1回だけ。

　中学受験をすると、大学付属校の場合はそのまま大学に進学できますが、そうではない場合、大学受験をするのでトータルで2回。そのうちの中学受験は子どもと親の意識が半分半分でしょうか。

　公立小、中、高の場合は、高校受験があり、3年後に大学受験があるので、トータルで2回。しかも近い受験になります。

　大学進学後も、公認会計士や弁護士、公務員などの資格を取る場合は通常、大学だけでなく資格取得のための学校などにも通って受験勉強をすることになります。一方、医師や薬剤師の場合は、一般的に大学の学費は高いことが多いですが、大学の勉強だけで免許を取れることが多いです。

　さらに、今はグローバルな時代なので、海外の大学に行きたいというパターンも増えています。すると、大学出願の際に必要なTOEFLやIELTSなどの英語の勉強をするのにもお金がかかります。

　実は、中学受験や大学受験の塾代よりも、資格の勉強のほうが、費用が高いんです。年間100万円単位でお金が出ていくこともあります。

　そのため、子ども自身が資格の勉強をしたい、海外の大学に行きたい、と言ったときのために、お金をストックしておいたほうが絶対にいい。小さいときにお金をかけすぎて、いざ「将来のためにこの勉強をしたい！」と言われたとき、援助してあげられないのは悲しいですよね。将来的にかかるお金のことも想定して、いつのタイミングで受験をするか考えてほしいと思います。