私立を諦め、公立コースにする? 「老後に住み替え」の夢は?

S子 こんなに現実を見てしまうと、最初にご相談したリタイア後の夢、「キャッシュで鎌倉にマンションを買って老後は住み替える」なんて、絶対に無理ですね。

前野 うーん。住み替えても現金の収支はそんなに変化はないんですよ。マンションの場合、管理費と修繕積立金などの維持費はずっとかかりますし、住んでいるマンションが実際に売れるのかという問題もあります。

S子 場所も都心だし、築年数が経っても5000万円くらいで売れるんじゃないかと甘く考えていました。じゃあ、例えば子どもが中学受験をやめて、中高と公立に行った場合はどうでしょう? ローンをきちんと繰り上げ返済しつつ、「中高は公立、大学だけ私立文系、1年間の海外留学」っていう教育費のパターンを知りたいです。

前野 私立の中高から公立の中高に変えた場合に下がる金額は435万円です。

S子 えー! 思ったより差は出ないんですね。どのみち老後は赤字かあ。

効果的なのは「支出を少しでも減らす」「細く長く働く」こと

前野 実は、「安心な老後」のカギを握るのは、お二人の「生活レベル」なんです。

S子 ぜいたくしているつもりはないんだけどな……。結婚が遅かったこともあって、二人とも自由にお金を使う生活に慣れているのが、敗因のような気がしますね。

前野 生活費の中でこれは「減らせそう」っていうものはありますか? 無理しない範囲で。

S子 毎月の外食費5万円はちょっと使い過ぎかもしれませんね。でも、夫婦の唯一の趣味が外食なので減らすのは難しそう。夫6万円、妻4万円のお小遣いと2万円の洋服・美容院代もそんなに高いつもりはないんです。毎日のランチ代だけでもかかるし。月1万円なら頑張って生活費を減らせるかなあ。

前野 費目を細かく分けると使っているお金の大きさに気づきにくいのですが、普通の食費とは別の外食費、お小遣い、洋服代などで合計17万円を、1カ月の夫婦の「楽しみ」に使っているわけです。そこで、月1万円ここから減らした場合で試算してみましょうか。うん、赤字になるのが夫85歳まで延びますね。

S子 月1万円の節約で意外に延びましたね!

前野 月1万円の力って、実はすごいんです。そしてもう一つの選択肢は、「細く長く働いて収入を増やす」こと。一つの案として、ご主人が65歳でリタイアした後も、手取り年収200万円くらいで70歳まで働きます。年金を65歳ではなく70歳から受け取るコースにすると、年金額が1.42倍に増えます。先ほどの生活費の見直しにこれをプラスすれば、赤字転落が一気に夫91歳まで延びますよ。

S子 うん、この路線だな。