60歳以降に引き出せる「iDeCo」が教育資金用としても使える

前野 「これは教育費用としてためている」というように、目的がはっきりとした貯蓄はありますか?

S子 今は特に決めずにためている感じですかね。あ、そういえば、夫がNISA口座を今月から開設して教育資金用に月2万円ずつためることにしたと言っていました。

前野 いいですね! S子さんもNISA口座に投資信託170万円を持っていますよね。お二人は、iDeCo(イデコ)はされていないんですか。老後資金をつくるための個人型確定拠出年金のことですが。

S子 よく分からなくてやっていません。

前野 ご主人の年収や年齢を考えると、iDeCoのほうがメリットがありますね。お子さんが18歳になって大学に行くころ、パパは64歳。iDeCoのお金は60歳以上から引き出せるから、老後資金に限らずご主人の場合はこれを教育資金として使えます。

S子 ふんふん。NISAと併用できますか。

前野 できますよ。ご主人は所得が高いので、iDeCoを使うと税制面でのメリットが大きいです(詳しくは「iDeCo運用法 定期預金でも十分効果あり!」参照)。会社に確定給付年金や厚生年金基金がある場合は、毎月の積み立てなら上限が月1万2000円。何もない場合は2万3000円です。

S子 なるほど。夫に聞いてみます。

前野 フリーランスのS子さんがiDeCoをするのであれば、1カ月あたり6万8000円まで積み立てることもできますよ。ただし60歳になるまで下ろせないので、教育費として考えるならお子さんが14歳のときに60歳を迎えるパパにやってもらったほうがいいでしょう。月1万2000円積み立てたとして、ご主人の所得税率が20%だとすると、住民税と合わせて年間4万円ほど節税ができます。

S子 子どもが生まれてから14年間続けたとすると……。

前野 全部で56万円分くらいの節税になりますね。

S子 税金面でこんなにメリットがあるんですね。早速、夫に相談します!

前野 今後、S子さんの収入が増える可能性はあると思いますか? 契約している出版社だけでなく、フリーランスとしてのお仕事を増やすとか。

S子 現状から収入をアップさせることを考えると、かなり仕事は大変になると思います。もしくはフリーランスを辞めて正社員として転職するか。でもせっかくやりたいことがあってフリーになったのになあ……。

前野 では、現実的な路線で「生活費の見直し」というところから、考えていきましょうか。

「オトナ夫婦」に必要なのは、住宅の予算、子どもの教育費と自分たちの老後資金の準備のバランス
「オトナ夫婦」に必要なのは、住宅の予算、子どもの教育費と自分たちの老後資金の準備のバランス