結婚当初、夫の貯蓄はゼロだった

前野 まずは貯蓄の現状から見ていきましょう。ご主人の預金が380万円ですね。失礼ながら、年齢と年収から考えるとやや少なめに感じるのですが…マンションの頭金などで使われたのでしょうか。

S子 いえいえ。夫は結婚当初、なんと貯蓄ゼロだったんですよ! 独身時代にキャリアアップのためのアメリカ私費留学でそれまでためていた800万円を使った上、毎日外食で1日7000円くらい消えていたみたいで。結婚してから私に言われて、やっと給与天引きで5万円ずつため始めました。

前野 S子さんが言って、ちゃんとためるようにしてくれるのは協力的ですね。夫婦二人の合計貯蓄額は690万円。毎月の貯蓄については、今おっしゃった5万円のほか、家計の中から貯蓄10万円というのはS子さんが出していらっしゃいますか。

S子 そうですね。基本的に生活費は全部夫持ちで、私の収入から月10万円ためています。

前野 ボーナスは、ご主人の分が夏と冬で合わせて約250万円あるんですね。

S子 これまでは結婚費用やマンションのリフォームに充てていたんですけど、これからは80万円ずつ夏と冬のボーナス時に出して、年間で160万円は繰り上げ返済に回したいと思っています。

前野 ご主人の退職金はどれくらいになりそうか分かりますか。

S子 会社の人の話を聞いていると、1000万円はないみたいなんですよね。800万円くらいかなあ。4年前に転職したばかりなので、在職期間が短いんですよね。

前野 退職金が500万円なのか2000万円なのかによって、教育費や老後にかけるお金はかなり変わってきます。大事なことだからこそ、この部分は直接確認してもらったほうがいいでしょう。「会社に辞めると思われるのでは」とちゅうちょする方が多いんですけど、「銀行の人から住宅ローンのプランを考えるのに必要と言われたので」と言えばいいですよ。

S子 分かりました。夫に聞いてもらいます!

外食が夫婦共通の趣味。なかなか「レジャー費」が減らせない

前野 続いて支出の確認をしていきましょう。月々出ていくお金については、食費が4万円、日用品が1万円、レジャーに5万円、夫婦のお小遣いは夫6万円・妻4万円で、その他美容院や洋服代などが2万円。食費が月4万円というのはきちんと管理されている印象ですが、レジャー費が月5万円というのは……?

S子 これはほぼ外食費ですね。結婚する前は二人で月に16万円くらい外食していました。今は妊娠中なので飲んでいませんが、実は私もお酒が大好きで、ワインを箱買いしちゃうタイプ(笑)。外食が夫婦共通の楽しみなので、これを減らすと仕事のモチベーションもそがれる気がしちゃうんです。外食費ってどれくらいの金額が理想なんでしょう?

前野 実は「これが理想の家計」というものはないんです。高いと思っていても、「ここにわが家はお金をかけたい、譲れない」ということがちゃんと分かっているのなら、それは無駄遣いでないと思いますよ。大事なのはお金をかけたいところと節約するところの「メリハリ」です。

 出産費用などのイレギュラーな出費は除いて今お聞きした日常的な生活費を足していくと、年間で334万円。住居費は固定資産税を入れて230万円。火災保険や冠婚葬祭費などその他もろもろの費用54万円も合計すると、年間の支出は618万円です。

<年間の支出>
■生活費 334万円 ■住居費 230万円 ■その他 54万円
⇒合計 618万円

この支出を基に今後の生活を考えていきましょう。