夫の定年時に子どもは19歳。収入減と学費のピークが同時に訪れる

相談者S子さんのプロフィール

<夫婦の仕事と年収>
■夫(46歳)/正社員・金融 年収1050万円(税込み)、月給43万円(手取り)、ボーナス250万円
■妻(39歳)/フリーランス・マスコミ 年収450万円(税込み)、月給33万円(手取り)、ボーナスはフリーランスのためなし

<現在の貯蓄や金融商品>
■夫/普通・定期預金380万円
■妻/普通・定期預金50万円、投資信託170万円(時価)、株式90万円(時価)

<毎月の貯蓄>
■家計から月10万円
■自動積立月5万円
■教育資金としてつみたてNISA月2万円(2018年3月からスタート)

<住宅ローン>
2年前に都心に中古マンションを購入しリノベーション。リフォーム費用含めかかったお金は7000万円。住宅ローンは5000万円を20年固定金利(0.95%)35年ローンで借入。毎月14万円ずつ返済

夫正社員、妻フリーランス。世帯年収1500万円と高収入だが……

FP前野彩さん(以下、前野) 7月にご出産予定ということで、おめでとうございます。

相談者S子さん(以下、S子) ありがとうございます。年齢的にも今のところ一人っ子の予定なので、自分たちができる範囲で教育にはお金をかけたいと思っています。

前野 S子さんはフリーランスなんですね。

S子 はい。出版社で業務委託という形で編集者をしています。正社員のように産休・育休はなく、出産にあたっては「いったん契約終了」になるんですね。職場は「出産したら戻っておいで」とは言ってくれていますが、確約はされていません。今の年収が維持できるかは、復帰後の状況次第です。

前野 今回の相談で一番聞きたいことはどんなことですか?

S子 やはり教育費です。今の収入レベルでどれくらい教育にお金をかけられるかが知りたいですね。「夢の教育プラン」をかなえるためにはどれくらい貯蓄しなきゃいけないのか、無謀ではないのか。

前野 計画的に考えていらっしゃいますね。まずは、S子さんご夫妻が考える「夢の教育プラン」について具体的に教えてください。

S子 小学校は公立でいいんですけど、中学受験して中・高・大学と私立を考えています。できれば大学は海外の大学に4年間留学させてあげられればいいね、と夫と話し合っています。

前野 小学校だけ公立プランとのことですが、小学校入学前はどうでしょうか。

S子 今まさに保活中ですが、フリーランスなので認可保育園は無理そうで。認可外で候補をいくつか探したところ、おむつ代を入れて大体月7万4000円くらいかかりそうです。

前野 共働きで、認可外だと保育料の高さは避けられないですもんね。お子さんのことや教育費以外で、希望するライフプランはありますか。

S子 これもあくまで夢ですが……今住んでいるのは築15年のマンションで、築30年を超えて価値がすごく下がってしまう前に住み替えたいなと思っています。夫が65歳で定年を迎えるタイミングで、鎌倉とか、今より少しのんびりしたところに。今のマンションを売却したお金で買い替えられるならそうしたいです。

前野 夢があるということは、そのために頑張る力も生み出してくれるので、いいことなんですよ。お仕事については、S子さんご自身は今後どう働いていきたいですか。

S子 今の仕事は好きなので、できるだけ長く働きたいとは思うんですけど、現実的に考えたときにフリーの記者って需要があるのが55歳くらいまでかなと思っていて。

前野 今の働き方だと55歳くらいでいったんキャリア的には区切りができるという感じなんですね。でも、2人に1人は90代まで生きるこの時代、55歳で仕事を辞めたとしても、その後が長いですよ~。「細く長く」働くプランというのは考えていますか。

S子 理想を言うと「55歳の区切り」が来るまでに自分のテーマを見つけて、本を執筆できたらと。そういう仕事ができるようになっていれば、働き続けられると思っています。

前野 具体的でいいですね! S子さんご夫妻が希望するライフプランの方向性が大体見えてきました。お子さんは小学校までは無認可の保育園、その後地元の公立小学校に入学して、私立の中高一貫校を受験、その後はできれば海外の大学へ留学させたい、と。割とフルコースですね(笑)。そして、ちょうどお子さんが大学に入学するころに、パパが65歳で定年を迎えます。

S子 わー、まだ子どもが大学生のときに、もう定年か…。

前野 では、このままの状態でこのプランが実現可能なのか。そして実現するために何が必要なのか。家計の現状と、これからかかるであろうお金を一つずつチェックしていきましょう。

教育にお金がかかる真っ最中に、親は定年。子どもにもできる限りのことをしてあげたいけれど、自分たちの生活も心配……
教育にお金がかかる真っ最中に、親は定年。子どもにもできる限りのことをしてあげたいけれど、自分たちの生活も心配……