<山本直美さんの回答>

「親が正解を言わない」のがしつけの極意

A. 頭ごなしに叱らないようにすればするほど、クドクドしつこく叱ってしまう気がするのですね。

 3~4歳になると、「やっていいこと、悪いこと」についてちゃんと分かっている子も多くなります。「夕飯前にお菓子を食べてはいけない」ということだって、娘さんは十分理解していると思います。でも、ママの注意に言い返しているうちに、引くに引けなくなってヒートアップしてしまうんですよね。「最後は号泣で終わる」というのも、泣いたら一区切りつくからですが、ここまで追い詰める前に、親も子も「理性スイッチ」を入れる必要があります。ではどうすればいいのでしょうか。

 まず、叱るときは「正解」を最初から言うのをやめてみてはいかがでしょう。「今食べたら晩ごはんを食べられないよ」「甘いものはごはんの後のデザートにしたら?」などは正しい答えなんですが、お子さんにとっては「お耳スルー」状態で、心には全く響いていないことは質問者さんも認識していることと思います。

 注意をするときは「正しい答え」を親が与えるのではなく、子ども自身に気付かせることが大事です。例えば「夕飯前にお菓子が食べたい」とぐずり始めたら、「ごはんを食べられなくなるからダメ」と言わずに、「あれ? 夕飯前にお菓子を食べるとどうなっちゃうんだっけ?」と問いかけてみるのです。

 娘さんが「おかしでおなかいっぱいになるよ」と答えたとしたら、こう続けてみましょう。ママ「おなかいっぱいになると、どうなる? 今日の晩ごはんは◯◯ちゃんの大好きな空揚げだけど、食べられるかな?」娘「……うーん、おもわない」ママ「じゃあどうしたらいいと思う?」娘「おかしはあしたのおたのしみにする!」――こう誘導できればしめたもの。ママは無駄に叱らずに済むし、娘さんも「自分で考えて判断した」という自信につながります。

没入している子どもの注意をうまく引く

 叱ってしまうシチュエーションを減らす工夫も大切です。

 毎朝の登園の支度も親子の衝突が増える時間です。おもちゃで遊びだしたり、洋服をなかなか着替えなかったりする子どもについ雷を落としてしまうという経験は、質問者さんにもあるのではないでしょうか。

 こんなとき、注意してもなかなか着替えない子どもに業を煮やして「早く着替えて!って、ママ何回言ったと思っているの!?」と怒りながら、結局は子どもの着替えを手伝っていませんか? 「クドクドとお説教しながら、最終的には全部親がやってあげる」――実はこれ、一番やってはいけないしつけなんです。「お小言だけ流しておけば、ママが全部やってくれる」と気付いた子どもは、善悪を判断しなくなり、自分で何もやらなくなってしまいます。

 「朝はバタバタしていて、そんなに子どもに構っている余裕はない! 自分の用意もあるし……」というのなら、前夜に次の日着る自分の洋服を用意しておいたり、いつもより少し早めに起床して身支度を済ませておき、あとは口紅だけという状態にしておくといいと思います。そうすれば、忙しい朝でもガミガミ叱ることなく「子どもに自分で考えさせ、支度させる」心の余裕も生まれるはず。

 叱りそうになったら、思い出してください。子どもはおもちゃに夢中になったり、空想に浸ったりしているとき、完全に自分の世界に没入していることを。「心ここにあらず」状態になっているときに、クドクド叱っても無駄です。まずは現実の世界に引き戻すのです。「あれ? 今何時だっけ? 何をするお時間なんだっけ?」などと子どもの注意を引き、「ハッと気付かせる」言い方をすること、これがコツです。

(イラスト/まつおりかこ 写真/坂斎清)