会社員の夫がまもなく独立起業することを考えているという相談者ご夫婦。現状の年収が手取り900万円と高額なため、事業が軌道に乗るまではかなりの収入減を覚悟する必要があります。子どもはまだ0歳と3歳と小さく、今後の教育費や自分たちの老後資金など不安は尽きません。

 独立後、どのくらいの収入を目標にすれば現状の家計を維持できるのか、また、会社員時代にはなかったリスクへの備えをどう取るべきか。ファイナンシャル・プランナーの中嶋よしふみさんが具体的にアドバイスしていきます。

■上の記事はこちら→「年収1200万を手放し独立起業 家計への影響が不安」

<相談者の悩み>

夫が独立を計画中。家計への影響と今後の見通しの立て方が知りたいです。

相談者のプロフィール

<夫婦の仕事と年収>
■夫(36歳)/正社員・コンサル 年収1200万円(手取り900万円)
■妻(40歳)/正社員・IT 年収600万円(手取り500万円)
※妻は2017年の金額で、時短勤務および産休に入ったため通常より低め。フルタイムで働くと手取り600万円ほど。昨年は育休中で、育児給付金など手取り年収は350万円。今年4月に復職予定で、時短の場合は手取り550万円の見込み。

<現在の貯蓄や金融商品>
■預貯金 650万円
■保険の積み立て分 240万円
■株や投資信託 600万円(会社の持ち株会)
■外貨預金 550万円
■仮想通貨 50万円
■海外のビジネスパートナーに預けているお金 200万円ほど

<毎月の貯金>
■0~40万円(年による。昨年は年300万円ほど)

<住宅>
東京都内に4900万円のマンションを購入し、ローン返済中(残高は約3000万円)。住居費は、管理費や駐車場代を合わせて月18万円ほど。手狭なため、いい物件があれば買い替えを検討している。

夫は独立後をやや楽観視するが…妻はシビアに見ておきたい

FP中嶋よしふみさん(以下、中嶋) では、現状の収支がどうなっているかを確認していきましょう。まずはこの連載で何度かお伝えしている「バッファー」の考え方です。今どれくらい貯金ができているかを把握して、今後の家計のプラス要素、マイナス要素を加味して、どれくらい耐えられるかというのがバッファーです。

 現状の貯金が年間300万円と考えて、年間のプラスの要素としては、今後奥様が時短で復帰して、収入がプラス100万円。他に節約によってプラス100万円とします。旦那様の独立で収入がどれくらいダウンするのか、下のお子様の保育園代もかかりますので、その部分をマイナスとして計算していきましょう。

 旦那様は、コンサルタントの仕事で独立後、どれくらいの収入を想定されていますか?

 1つの案件が取れれば100万円くらいなので、1カ月で1つずつ取ることができれば1200万円になります。ただ、いきなりそんなには取れないと思うので、1年で9つくらいの案件として、年間で900万円くらいでしょうか。

 そんなに順調に仕事を取れるものかな……。私は最初、収入ゼロもあると思うんです。新規で100万円の仕事を1つ取ることでも難しいと思うので、シビアに見積もっておかないと。プラスになればそれに越したことはないですが、仕事をあまり取れなかったケースで、生活がどうなるかを知っておきたいです。

中嶋 では、2通り見積もってみましょうか。まずは、旦那様がイメージする年商900万円のパターン。そして、さすがに収入ゼロだと厳しいでしょうから、年商300万円程度のパターンです。