共働き子育て中の家庭にとって、家事代行とベビーシッターはどちらも欠かせない存在です。そこで、日経DUALは両サービスについて企業向け、読者向けアンケート調査、編集部員による抜き打ち利用からなる調査を実施。その結果を踏まえ、独自の指標で配点し、ランキング化しました。

ランキング発表の前にまず、家事代行とベビーシッターを取り巻く今の状況についてお伝えします。他の業界の例に漏れず、両業界共に「人材不足」という大きな壁に直面しています。そんな中、利用者は、事業者をどのように選べばいいのか。専門家への取材をもとに、事業者選びのポイントなどを検証しました。

本記事の後半では、読者向けアンケートの結果を速報! 家事代行とベビーシッターサービスがどれほど利用されているか、日経DUAL読者はどんな視点で事業者を選んでいるのか、などについてお伝えします。さらに、本特集の2回目以降では、両サービスのそれぞれ上位5位までを発表。事業者の概要や、日経DUAL編集部による利用リポートも紹介していきます。この特集が、皆さんの共働き子育て生活をがっちり支える力強いサポーターを見つける一助になれば幸いです。

【ベビーシッター&家事代行ランキング2019特集】
(1) ベビーシッターと家事代行 事業者選びのポイントは? ←今回はココ
(2) 上位5社は? ベビーシッターサービスランキング
(3) シッターサービス 3~4位の評価と使用感
(4) マッチング型ベビーシッターを使いこなす極意とは
(5) 上位5社を発表! 家事代行サービスランキング
(6) 家事代行サービス 3~5位の評価と使用感

家事代行は、IT活用やマッチング型の登場で低価格でも利用可能に

 「家事代行サービスはここ数年で認知度が大きく高まってきたと感じています」と話すのは野村総合研究所の武田佳奈さんです。

 「家事代行は、基本的に利用者宅にある道具を使って日常の家事を代行するというものなのですが、私が家事代行サービスについて調査を始めた2010年ごろは、世間ではまだまだ、特殊な工具を使ってエアコンなどの清掃を請け負うハウスクリーニングと家事代行の区別がついていなかった時代でした。その後、徐々に認知が広がり、今では家事代行は、富裕層だけでなく、共働きなどの一般家庭においても利用されるもの、という認識が広まってきています。

 背景には、共働き世帯が増加し、「家事の時短」が社会の共通課題として認識されるようになってきたことが挙げられます。今で食洗機、洗濯乾燥機、お掃除ロボットといった『共働き三種の神器』が普及し、スーパーなどでもカット野菜や料理キットなど、時短をうたう簡易調理品が数多く登場してきています。生活者の間で便利なものやサービスを積極的に活用して、家事の手間の一部を削減することに対する抵抗感や後ろめたさが薄まってきたと考えています。こうした流れの中にあって、家事代行サービスにも関心が高まってきているのだと思います」(武田さん)

 家事代行はこれまでサービス価格が下がりにくい傾向にありました。労働集約型の産業であることと、「安かろう・悪かろう」では許されず、一定以上のサービスクオリティーが求められるといった業界特性があるためです。しかし、数年前からITを活用しさまざまな間接コストを圧縮したり、スタッフを雇用せずにマッチングに徹したりすることで、利用しやすい価格を実現させる事業者も登場。「こうした流れも、利用者層を拡大している大きな理由と言えるでしょう」(武田さん)

 共働き世帯のみならず、単身世帯や、介護とまではいかないけれども、多少人の手を借りて生活したいミドルシニア世帯からもニーズのある成長市場として期待されていますが、必ずしも順風満帆とは言えないのが現状です。「他の業界の例にもれず、人手不足という大きな壁に直面しています」と武田さんは指摘します。

 その解決策の一つとして、国家戦略特区内での外国人受け入れ解禁によって可能になった外国人人材を活用した家事代行サービスが相次いで登場しているのは、家事代行業界における最近のホットトピックと言えるでしょう。「国家戦略特区での外国人受け入れ事業では、日本人と同等の賃金を支払うことが条件となっているため、必ずしも低価格で利用できるというものではありません。とはいえ、スタッフと英語でコミュニケーションを取れることに、子どもへの教育上のメリットを感じる家庭などから一定の支持があるようです」(武田さん)