信也さんは、1カ月間休みなしということも以前はあったと言います。「平日も土日も関係なく生徒のスケジュールに合わせてレッスンするので、自分で休みを設定しない限り休めません。子どもが生まれてから初めて、事前に休みを決めたり、変更をお願いしたりするようになりました」と信也さん。

 仕事中心の生活をしていた信也さん。そんな信也さんが一変したきっかけは何だったのでしょうか。「妻の妊娠・出産を目の当たりにして、やはりこれは大変なことだと、実感しました。たまたまその頃見ていたドラマで、『僕も育児手伝うよ』と言った男性が『手伝うじゃないだろ! アンタの子どもだよ』と諌められているシーンがあり、自分も育児を『自分事』として捉えなくては、とハッとしました。全部自分でするぐらいの気持ちでいよう、自分ができることはなんだろう、と。そしたら、育児と家事は分けられるものではなく、つながっていることに気付きました」

仕事人間だった信也さん。ドラマをきっかけに、「家は女性が守るもの」という考えが崩れ去り、積極的に家事をするようになりました
仕事人間だった信也さん。ドラマをきっかけに、「家は女性が守るもの」という考えが崩れ去り、積極的に家事をするようになりました

 料理は美由紀さんが担当していますが、それ以外の育児と家事は、2人で協力しています。「例えば、朝、私が息子の保育園の支度をしている間に、夫が朝食後の食器洗いと洗濯干しをして、その後、息子をバトンタッチして、夫が保育園に送りに行く。子育てと仕事をなんとか円滑に回すため、2人でいたわり合いながら協力しています」(美由紀さん)。

食器洗いをすることが自分と家族の幸せにつながる

 うまくいくコツはあるのでしょうか。「常に感謝の言葉はかけます。朝の家事育児タスクを連携プレーでクリアできたら、『我が家は分業完璧だね』などとも伝えています」(美由紀さん)。お互いに忙しくて、家事を押し付けあうことはないのでしょうか。「もちろんうまくいかない日もありますよ。夫が寝落ちしてしまって、食器がそのままということも。私が、『昨日寝ましたね。私が洗いましたよ』『あーそうだったか』『ごめんなさいは?』『はいはい、ごめんなさい』みたいなやり取りになります」(美由紀さん)。

 「不満を溜めないようにはしています。溜まってくると、体調や疲れが引き金となって爆発しがちだと自分でも分かっていますので、不満は言います。でも、『嫌だった』というだけでなく、必ず『だから、こうしよう』と解決法も提示するようにしています」(美由紀さん)。

 信也さんが洗ったはずの食器に、ご飯粒が残っていることもあるそう。「あまり気にしないようにしています。外食したら、たまに皿に汚れが残っていることもありますよね。家だったら、食べた人も、洗った人も分かっているわけですから、それに比べたら全然問題ないですよ。『自分の機嫌を直せるのは自分だけ』と誰かが言っていましたが、求め過ぎないことも大切かなと思います」と美由紀さんは微笑みます。

家事シェアの秘訣は、求めすぎないこと。そして「お父さんの鑑!」「ホントに助かる!」と感謝を言葉で伝えることが大切と言う美由紀さん
家事シェアの秘訣は、求めすぎないこと。そして「お父さんの鑑!」「ホントに助かる!」と感謝を言葉で伝えることが大切と言う美由紀さん

 家事育児を協力するようになってからコミュニケーションが増えたという齊藤さん夫婦。「話を聞かないし、口下手だし、以前はあまり話してくれる人ではなかったのですが、協力して家事・育児をするためには話さないと進まないので、本当によく話すようになりました。子どもを寝かしつけてから改めて大人だけで食事をして、たっぷりコミュニケーションを取っています」と美由紀さん。

 信也さんにとっても「いいこと」があったそうです。「子どもが生まれて以降、こういうのを幸せと呼ぶのだなとしみじみ感じています。食器洗いをすることが自分の幸せにつながった、という感じ。育児も家事も分けずに全部自分事として捉えることで、家族みんなが幸せになれている気はします」

夫が家事・育児に積極的だから「2人目」も考えられた

 現在、2人目を妊娠中の大久保みゆきさん(35)。「夫が家事・育児をしてくれることが分かったので、2人目を考えられました」と言います。