「じゃあ、◯◯だけはどう?」と、小さな要求から始める

小早川 言葉遣いのテクニックもいくつか紹介しておきますね。まずは、夫が言った言葉を反復して使う。例えば夫が「今まで通りでよくない?」と言ったら、「今まで通りでできればいいんだけれど……」といったん相手の意見を受け入れてから、自分の意見を言いましょう。また、人の脳は否定形を好まないので、「できるはずないでしょ」と言いたくても「それは難しいでしょ?」と言い換えましょう。相手が「うん、そうだよね」と言ってしまう質問をなるべくすること。「どうして?」「なんで?」は質問ではなく詰問なので、使いません。
 
 「じゃあ、1カ月だけ試してみる?」などと、小さな要求から始めるのもポイント。玄関ドアを閉められそうになった営業マンが、ドアに足を挟んで10cmの隙間から話を聞いてもらえると、その後の要求も聞いてもらえることが多いといわれます。まず小さなことをOKしてもらうと、大きなこともイエスと言ってもらいやすくなるのです。

それぞれのBITA、BATNAを決め、AKYミッション実行!

小早川 では、食器洗いに関して、皆さんご自身のゴールを考えてみてください。それぞれBITA、BATNAを教えてください。

石井 私のBITAは「家族全員が自分の役割と思って食器洗いをする」。BATNAは「私が昼洗ったら、夫が夜洗う、私が土曜洗ったら、夫が日曜洗う、のように交互にしたい」。息子には家事ができる子になってほしいので、私と夫の両方が食器洗いをしている姿を見せたいです。マイルールではなく、子どもと一緒にすることを前提に「家族のルール」を考えて、夫に伝えるのはどうでしょうか。

小早川 「子どもへの影響」という視点を絡めるのは、とてもいいと思います。AKYミッションをやりつつ、夫さんにそれを伝えてみてください。例えば「『男も女も関係なく、家事はするものなんだよ』と息子に伝えたら、息子が『パパもママに言われないとやってないじゃない』と言ってたのよ」などと息子さんの台詞を借りるのもアリですね。

高橋 BITAは「平日夜に食器を洗ってほしい」。BATNAは「夜は難しいなら、まず平日朝だけでも食器洗いしてほしい」。

小早川 まずはAKYを先行させてみて、朝洗ってくれたら、またすぐAKYを言いましょう。洗ってくれない日は、「やって」と言いたくなりますが、ぐっと我慢してAKYを続けます。朝やってくれる頻度が増えてきたら、朝やってくれたことに対してAKYを伝え、「夜もやってくれる人がいたらうれしいなあ」みたいに伝えてください。やってくれたら必ずAKY。忘れないでください。

上田 BITAは「毎晩夫が食器洗いをして、すべての食器が元の場所に戻っていてほしい」。BATNAは「毎日が無理なら半々でいいから週3日はしてほしい」。

小早川 上田さんは先に家事に手を出してしまうタイプなので、もしかしたら夫さんは「妻がやったほうが妻自身が楽」と思い込んでいるかもしれません。AKYをしつつ「お皿を洗うのは疲れちゃう」みたいに、上田さんが食器洗いを負担に感じている事実を伝えましょう。5日ほどAKYを続けたら、「食器洗いが週3日だったらうれしいな」と軽く言ってみてください。

加藤 私のBITAは「毎朝シンク内が片付いていること」。私は夜、食器を洗わないで子どもと一緒に寝てしまうことが多いんです。で、朝起きると、夫分の使用済みの食器がシンクに追加されている。それを見ると朝からへこむので、夜のうちに夫に片付けておいてほしい。BATNAは「フィフティフィフティとは言わなくても、少しでもやってほしい」ですね。

小早川 AKYを続けて4日目ぐらいで、「朝起きたらシンクがキレイになってたらうれしいな」と言ってみてください。1回では無理なら、さらにAKYを2~3日続けて、「寝ている間にキレイになってるとうれしいな」とまた言います。やってくれたらAKYを忘れずに。

 あ、最後に、笑顔も忘れないでください。妻が眉間にシワを寄せていたら、夫の安全欲求が侵されますからね(笑)。言葉は受け止める人によって解釈が異なることもありますが、笑顔はみんなほぼ同じ解釈をします。皆さんが考えている以上に、笑顔は重要です。笑顔でAKY! それでは皆さん、ご健闘を祈ります!

小早川さんの指導のもと、現在AKYミッションが進行中!
小早川さんの指導のもと、現在AKYミッションが進行中!

(文/小林浩子 写真/木村和敬)

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パパの「食器洗いグランプリ」挑戦者募集!
記事をお読みいただき、食器洗いシェアに少しでも興味を持ったパパに、ぜひ挑戦してほしいのが、「食器洗いグランプリ」です。

実際に食器洗いをしていただき、そのやり方や早さ、仕上がりなどを、食器洗いの達人が採点、その得点を競います。入賞者には、素敵な賞品を進呈!(謝礼あり、2万円・交通費込)

ご家族も、ぜひ頑張るパパを応援しに一緒にいらして下さい!なお、応募は、パパからだけでなく、パパに挑戦してほしいと思っているママからでもOKです。

日時:4月14日(土)13:30集合、16:30解散(予定)
場所:ライオン(株)研究開発本部(平井研究所:地図