まとめてすすぐと節水に、余り水を効率的に使え

「洗う順番は、まず割れやすいグラス類、次に汚れの軽いもの、最後に汚れのひどいもの、が効率的です」と松木さん。覚えておきたいポイントは、すべての場所にスポンジを届かせること。「難易度の高い、弁当箱などの角ばったものは、最後に四隅(よすみ)にまでしっかりスポンジを行き渡らせましょう」

 次にすすぎです。「まとめてすすぐ方が、節水になります」と松木さん。「洗剤で洗った食器は、洗い桶など大きな器があれば、それに入れておきます。ない場合は、大きな食器を下にして重ねておきます。その上ですすぐと、すすぎに使った水が下の桶や食器にもかかり、効率的です」。

大きな食器を下にして重ねてすすぐ
大きな食器を下にして重ねてすすぐ

 では、すすぐ順番は? 「水切りカゴの種類や大きさによって異なりますが、すすいだ食器を迷わずにサッと置けるような順番がベター。置き場所に迷っている時間も水を流しっぱなしなので、水が無駄になってしまいます」

 シンク周り、さらには床まで水浸しになってしまったーー。夫の“とほほ失敗ポイント”としてよく聞かれることです。「恐らくそういう方は、すすいでいるときの水流が強すぎたり、水を切るときに、自分のほうへ傾けて流しているのではないでしょうか。床まで水浸しになるのを回避するためには、シンクの奥(蛇口側)へ傾けて水を切りましょう

水切りカゴは“風通しのよさ”が命、立体パズル感覚で

 洗った食器は、水切りカゴへどのように置くべきなのか。絶対的に言えることは「風通しをよくすること」。つまり、食器と食器を密着させない。隙間をあけて空気の通り道をつくる。「水が切れやすいように、立てる、斜めにする、下向きに置く、が基本です」と松木さん。乾きやすいように、同じ種類のものはまとめて置きます。立体パズル気分で考えてみてください。割れやすいグラス類は、重ねない、あるいは別の場所へ置きましょう。

 その後、食器は水切りカゴに放置でいいのか、拭いた方がいいのか。「自然乾燥派」「すぐ拭く派」のそれぞれに言い分はあり、各々メリットは存在するので、ママルールに従いましょう。ちなみに、松木さんのオススメは「Magica速乾+」。「すすいだ後の水がすばやく切れる食器用洗剤だから、すぐ拭く派の方は、ふきんがびしょびしょになりませんし、自然乾燥派の方もより早く片づけられますよ」

水切りカゴのキホンは、水が切れやすいように「立てる」「斜めにする」「下向きに置く」。同じ種類のものはまとめて置き、隙間を少しずつあけるようにするのがポイント
水切りカゴのキホンは、水が切れやすいように「立てる」「斜めにする」「下向きに置く」。同じ種類のものはまとめて置き、隙間を少しずつあけるようにするのがポイント

ここまでしたら妻もニンマリ、+αのハッピーポイント

最後に周りの水しぶきを拭いて、シンクの内側もきれいにする
最後に周りの水しぶきを拭いて、シンクの内側もきれいにする

 「やれやれ終わった」と安心するなかれ。「炊飯器内の釜を洗い忘れた」は、よくある“とほほ失敗ポイント”。洗い残しているものはないか、食卓や調理スペースを見渡し、ダブルチェックです。さらに、周囲や床に飛び散った水しぶきがないかもチェックし、濡れていれば必ず拭いておきます。「水しぶきなんて、見た目だけの問題だろう」と思うかもしれませんが、汚れと水分が混在した状態をそのままにしておくと、雑菌が繁殖しやすく、不衛生です。

 生ゴミはママルールに則って処理しましょう。さらに、シンクの内側をシンク用スポンジと洗剤で洗う。ここまでやれば、妻を最高の笑顔にできるでしょう。

納豆ベトベト問題は? 色の変わったスポンジは?

 さて、せっかくなので、ニッチな疑問も松木さんにぶつけてみました。食器洗い初心者の心をくじく、代表的存在の「納豆ベトベトお茶碗」。上手な洗い方はあるのでしょうか。「乾燥しないように、水を張っておく方が落としやすくなります」

 頼もしい相棒、スポンジの“選手生命”も気になります、カレーや焦げ付きを洗うと、いとも簡単に色が変わってしまいますが、そのまま使ってもよいのでしょうか。「スポンジを使った後は、食器用洗剤をもみ込み、スポンジ自体を洗いましょう。汚れや油分がきちんと落ちていれば、色素が残っていても、問題ありません。スポンジが期待されている働きは、洗剤を泡立て、食器に効率よく行き渡らせること。スポンジ自体がヘタってきて、『泡立ちが悪い』と感じたら、替え時です」

 最後に、食器洗いはどのタイミングですると、一番喜ばれるのでしょうか。「妻が風呂に入っているときや子どもの面倒を見ているときなど、見ていない間にサッと片づけておくと、とても喜ばれます」と松木さん。とりわけ食器洗いにまだ自信がない人ほど、冒頭のエピソードのような、「小人作戦」が実は効果的。というのも、妻が見ている前ですると、妻はついあれこれ口を出したくなり、夫も冷静に作業しづらい傾向があります。さりげなく、完璧に仕上げるーーこれぞ男の食器洗いの美学かもしれません。あなたも今日から、妻をおとぎ話のプリンセスのような笑顔にしてみませんか。

妻がお風呂に入っている間にサッと片付けておけば、感動されちゃうかも!
妻がお風呂に入っている間にサッと片付けておけば、感動されちゃうかも!