これで妻を笑顔に!食器洗いの「極意」を学ぶ

 実は食器洗いは、シンプルに見えて、追求すると奥が深い家事です。食器を運ぶところから始まり、前処理、洗う、すすぐ、水を切る、乾かす、しまうまで、工程は多岐に渡ります。さらに、各工程のルールは家庭によって千差万別。例えば、洗い桶を使うのか、すすぎはまとめてするのか、お箸はどちら側を上に向けて乾かすのか、など細かく枝分かれします。

 とはいえ、食器洗いという「タスク」の目的はひとつ。様々な汚れが付着した多様な形状の食器類をキレイな状態に戻すこと。合理的・科学的な裏付けがある「絶対的ルール」さえ知っていれば、妻の「マイルール」も理解でき、最短でゴールに到着することが可能です。では早速、知っておきたいルールを見ていきましょう。

食器洗いの“生命線”!すぐ洗わないなら、せめて「水を張れ!」

“食器洗い達人”の松木慎さんに、パパのための「食器洗いのノウハウ」を聞いた
“食器洗い達人”の松木慎さんに、パパのための「食器洗いのノウハウ」を聞いた

 そのルールとは、(1)汚れを拡散させない、(2)汚れを固まらせない、(3)スポンジの効果を最大限に発揮せよ---です。

 まず、汚れの範囲を最小限に留めるのが最初のミッション。「『汚れを拡散させない』ために、食器を食卓から下げる時点で『仕分け』します」と松木さん。「割れやすいグラス類」「汚れが軽いもの」「汚れがひどいもの(油汚れのものなど)」の3グループに分けておくだけで、汚れが少ない食器に、新たに汚れが広がるのを防げます。同じ理由で、汚れがひどい食器同士は重ねません。

 「本当は、『食べたら即洗う』が理想的です。でもそれは難しいというご家庭もきっと多いのではないでしょうか」と松木さん。食器の汚れは、時間の経過に伴い、固着して、どんどん落としにくくなっていきます。時間を置いたことだけが理由で、労力が増えるのは避けたいもの。それを解決するための「最小にして最大の効果が期待できる行為」が、「水に浸ける」です

すぐに洗えないときは、茶碗や皿に水を張っておく
すぐに洗えないときは、茶碗や皿に水を張っておく

 カチカチになりがちなご飯粒や、しつこい油汚れも、茶碗や皿に水を張っておくだけで、汚れの固着を遅らせ、余計な手間を増やすのを防げます。ひどい油汚れのものは、キッチンペーパーやゴムベラなどで油分を拭き取ってから水を張ると「さらによし」です。「洗い桶にいったん食器類を浸ける」というルールの家庭でも、3つのグループを一緒の桶に入れないようにするのがポイント。

食器洗いを始める前に、ひどい油汚れのものはキッチンペーパーやゴムベラなどで油分を拭き取り、茶碗や皿は汚れが乾かないように水を張っておこう
食器洗いを始める前に、ひどい油汚れのものはキッチンペーパーやゴムベラなどで油分を拭き取り、茶碗や皿は汚れが乾かないように水を張っておこう

意外と妻もやってない? ここで差が出る「もみ込み5回」

洗剤をたらして、もみ込み5回が鉄則
洗剤をたらして、もみ込み5回が鉄則

 さて、洗いましょう。その前に「やるとやらないでは、大きく差が出る」と松木さんが断言するのが、「もみ込み5回」です。「洗剤をスポンジに満遍なく行き渡らせる行為です。水を含ませ、食器用洗剤を垂らしたスポンジを手のひらにのせて、最低5回はもんで、泡を作ります」。

 もみ込み5回で、スポンジの全面積に洗剤の泡が行き渡るので、例えば皿ならぐるっと表側2回、裏側2回ぐらいこするだけで、洗剤の泡がお皿全体に行き届くはずです。反対に、もみ込みをしていないと、洗剤を垂らした範囲しか効果を発揮できないので、何度も皿の上でスポンジを往復させなければならず、食器ひとつあたりにかかる時間を長引かせてしまう結果に。「もみ込みをしておくことで、泡持ちもよくなり、洗剤の使い過ぎも防げますよ」と松木さん。