「なぜ」「どうして」と粘り強く考える豊かな思考力を育む

<b>橋本里奈さん</b><br> 株式会社ベネッセコーポレーション グローバル商品開発部<こどもちゃれんじじゃんぷ>講座編集長。4月からスタートする「思考力特化コース」の開発も担当している。
橋本里奈さん
株式会社ベネッセコーポレーション グローバル商品開発部<こどもちゃれんじじゃんぷ>講座編集長。4月からスタートする「思考力特化コース」の開発も担当している。

――「思考力特化コース」の特長を教えてください。

 2020年度に始まる教育改革ではセンター試験に代わり「大学入学共通テスト」が導入され、小学校では「新学習指導要領」が全面実施になるという、大きな節目のときになります。これからは最初から解が決められた問いを考えるのではなく、まずは自分で何が課題かという問いを見つけて、その問いに対して粘り強く考えたり、周りの人と対話をしながらよりよい答えは何か、ということを考えて判断したりする時代になっていきます。そんな時代の中で必要になってくるのが、発見力だと感じています。

 幼児期における発見力とは、「ものをよく見て、観察して、たくさんのことに気づくことができること」であると我々は考えています。例えば、花や生き物を観察したときに、自分の知っている知識を引っ張り出しながら、共通点や相違点に気づいたり、新しい疑問が湧いてきたりと、一つのことに対してどんどん思考が広がっていくイメージですね。

 「思考力特化コース」には、幼児期ならではの旺盛な好奇心を種に豊かな発見力を身につけ、おうちのかたと対話をする中で、その気づきを広げたり深めたりしながら、考える力を伸ばしていってほしいという願いを込めています。

教材をもとに、親子で一緒に対話をしながら取り組んでほしい

――教材はどのような点にこだわって開発されたのですか?

橋本 親子で一緒に取り組むことを前提として設計することにこだわりました。年中さん、年長さんになると一人でできることも増え、ワークも一人でどんどん進めてしまうというお子さんもいらっしゃるかもしれません。そういった自主性はもちろん尊重するべきですが、やはり幼児期の思考力は自分の手指を使って操作をすることと、安心できるおうちのかたとの対話を繰り返して育まれていくものだと考えています。

 ですので、ワークも自分1人で取り組んで終わりにするのではなく、どうしてそう思ったのか、どうしてそう考えたのか、といった理由や考える道筋を振り返る問いを最後に入れています。それは、受け手となるおうちのかたの存在が非常に重要で、話を聞いてもらって「こうかな」「ああかな」と考え、「僕はこう思う」という判断を積み重ねていくことがとても意味のあることだと感じています。決まった正解がない問題も入れていますが、おうちのかたが考える「正解」に誘導するのではなく、まずはお子さんの考えたことを受け止めて、認めてほしいと思います。そして、おうちのかたの意見も伝えて、話し合って親子で楽しみながらで思考活動をしてもらいたいですね。

 どんな声かけをしたらいいのかわからないときは、おうちのかた向けの解説に答えや声かけ例が詳しく載っているのでぜひ利用していただきたいと思います。

森上 親子で対話をするというのが今までのドリルと大きな違いですね。ソクラテスの対話ではないですが、子ども自身の発想を受け止めて、大人もその発想を促すという点では、対話というのが一番いいです。教材をもとに対話が組み立てられるというのはすばらしいと思います。

――ほかにも、ワークにはどんな問題があるのでしょうか?

橋本 学ぶ領域としては、数量・言語・図形・論理が主なテーマです。物事を多面的に考える力が身につくよう、多方面から考える問いをたくさんいれています。例えば、道順を考える問題は、1つの行き方ではなく複数の行き方がある、図形の問題は、同じ形を作るけれどもいろいろなパズルの組み合わせがある、数の構成の問題は、5を作るに対して「1と4」「2と3」……といろいろな組み合わせがある、といった具合です。

森上 発見力を高める問題として面白いですよね。とてもいい問題だと思います。

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